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白夜

風景は水面のように揺れ
まばゆさが一層揺らぎを大きくする
思考は足を止めて
諦めたかのように五感にすべてを委ねる
かなしい夜が明けるのを待っている
確かに先には猫がいるのに
曇り硝子にある静止画みたいに
かなしい夜は長く、長くて、長い
少しだけ吸い込んだ煙のように
暗闇は肺の奥を締めつけて
大きく吐き出そうとする息は
水面を揺らして風景を歪ませるばかり
泣き出した夜は長く、うるさくて、静か
弧を描く月はきっと日々こんな気持ち
なのだろう
と、思った

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りよう
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