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祈るみたいに眠る

窪みは余白
私自身がつくるもの
私の一部が
新しく作られること

自分でつくった両のてのひら
水は注がれるもので
私はそれを待っている
見上げた空は高く
鳥影はどうやら
私には気づいていない


窪みは余韻
あなたがいた軌跡
私の一部が
あなたでかたち作られたこと

窪みを作った両の手のひらに
手を重ね置いて
混ざり合った血潮はあたたかく
じんわりと湧き上がると
指紋の溝をも感じることができた
私は今更、人のかたちを得たような
気にさえなった
私は気がついた

そして、
窪みは喪失
私には埋めることができない
私の一部

重ね合わせた両の手のひらは
そのままにしてある
もうそこには無いとわかっていても
それを動かしてしまうと
無いことすら失くしてしまうことを
心惜しく思うから
そのままにしてある
私は今更、人のかたちを得たことを
口惜しいと思うほど
私は余白に埋められていたことに
ただ気づかされた


窪みは余白
私が私を留めるための
鍵と鍵穴

誰に忘れ去られても良いと思った
どんなに憶えていても
誰しもが此処を去り
記憶は共に過ぎ去るのだから

私は私をできるだけ憶えていようと思った
私はあなたをそれよりもっと憶えていようと思った
自分でつくった両のてのひら
何度目かの雨のあとで
水は留められずとも
内で流れるものは留めてあることに気がついた
見上げた空は高く
鳥影は草木に日陰を作らない

気づかないうちにみんな少しずつ忘れてゆく
忘れてゆくと新しく窪みができる
古い窪みは砂に消えてゆく
それは良いことであり悪いことでもある

私は私をできるだけ憶えていようと思った
私はあなたをそれよりもっと憶えていようと思った

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りよう
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