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創造

それは旅の記録であり、記録の旅である
連なりをつくり、連なりを顧みるもの
誰のためにあるものではどうやらない

誰のためにか生み出されたものを
私は受益するだけで、それを生み出すことは
どうやら私には叶わない

あとどれだけ進めば辿り着くのかと
考えを巡らせるというより
どれだけ進んだのかを
幾ばくか延びた軌跡をなぞるということ

時折、楽しみにとっておいたクッキーを
箱から出す時と同じような感覚のそれに近い

時折、美しいことばを見つけると
夢の中で見る風景のようで
幾ばくかの間、私は重力を忘れる

夜の静謐から生まれる細い線
この孤独を望んだわけじゃない
孤高を気取って周囲の賑わいをあげつらえど
私の何もを埋めることはないと知っている

他者への少しの諦めと忘れ得ない恋しさ
自身に対するもどかしさ
それらは加齢による歯の隙間のように
気づかないうちにできた歪さと共に
時として間違った正しさを抱かせる

時折、自信たっぷりに吐き出された
そういった言葉を見つけると
幾ばくかの間、私は思い出すようにしている

夜の静謐から生まれる線
夢の間に間に聴こえる自身の寝息のように
意図せず紡がれる糸を辿り
振り返り見れば分かる言葉たちの意味
いつかの自分に向けた手紙ともいえる
旅の記録を携えて夢と現実を行き来する

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