N響の金5がいろんな意味でヤバい件
最近、ポケモン熱が再燃している私。
夜はPokemon Sleepでポケモンと一緒に寝て、起きたらPokemon GOで野生のポケモンを探す日々。
そんなことをしていたら、YoutubeでポケモンとNHK交響楽団(N響)のコラボコンサートを見つけました。
元吹奏楽部でトロンボーンを演奏していた私、大大大歓喜。
どれも素晴らしい演奏だが、その中で、ある金管5重奏(略して金5)の演奏がヤバすぎることに気づきました。
吹奏楽経験者の目線で、この編成のすごさを語ってみたいと思います。
何がヤバいのか
まずは、こちらの演奏をご覧ください。
読みながら観ていただいても大丈夫です。
1stトランペットが楽器を3台持ってる
まずこの時点で、ただならぬ雰囲気を感じます。
1stトランペットとは、この中だと色違いイシツブテをかぶっている、一番左にいる方です。
同じ楽器が複数人いる場合、向かって左側にいる人が高音域を担当します。
3台楽器を持ってきたということは、30分のコンサートの中で、この3台を一人が持ち替えながら演奏するってことです。
(この辺で、私の脳内はハァ?ってなってる)
2台持ち替えはよくありますが、3台はかなり少ないです。
見た感じだと、ピッコロ、C管、もう一本はおそらくB♭管…?
(間違ってたらごめんなさい)
このラインナップだけ見ても、「これからどんな激しい曲やるんだ?」って思います。(詳しくは別の項でご紹介します)
コンサート中に違う楽器に持ち替えるということは、瞬時にあたたまっていない楽器を急に吹かないといけない、ということです。
また、場合によってはマウスピース(口を当てる部分)も替える必要があります。
皆さんも声を出すときに、朝一番って声帯が全く機能しなくて、ガサガサしますよね。あれと一緒です。これは負担がでかい(泣)
金管楽器はその名の通り金属で出来ているので、適度にあたたまっていない(少し吹いて慣らしておく)と、良い音が出ないんです。
これを、プロはどう吹きこなすのか……
ベースパートがバストロンボーン
通常、金管アンサンブルでは、ベースパートをチューバが担当します。
ですが、この回は、なぜかバストロンボーンがベースを担当しています。
向かって一番右側の方です。これは一体どういうことなのか。
■バストロンボーンはチューバより音域が高い
→他の楽器の音域を上げなければならない(音が高い方がしんどい)
■単純にバストロンボーンがめちゃ忙しい
→普段チューバが指で細かく音を刻むところを、トロンボーンのスライドで再現する必要がある(腕がちぎれます)
……もうこの楽譜を想像するだけで、寒気が止まりません……
数日前から体調を整える必要があるくらい、体力がいるコンサートです。
ピカチュウとイシツブテを呼んでも、何も助けになりません(ごめんね)
そのほか補足
吹奏楽の金管アンサンブルには、ユーフォニアムという楽器が入ります。
ユーフォニアムとはチューバの小さい版です。
トロンボーンと同じ音域なので、トロンボーンがスライドで演奏できない細かい音を、ユーフォニアムが担ってくれます。
しかし、N響は管弦楽団なので、構成上ユーフォニアムがいません。
ということは、中音の細かい音は、トロンボーンとホルンで賄う必要があります。(この時点でトロンボーンの負荷が上がる)
もし、ホルンを1人増やして6人にすれば、少しは負荷が減ります。
とはいえ、トロンボーンにしか担えない音域(中音の中でも低いところ)があるので、そこそこ負担はあります。
つまりこの構成は、トロンボーンのスキルをかなり要求するということなんです。
曲を聴いてみよう
木管、弦アンサンブルも良いですが、金管は戦闘シーンの迫力を一層引き立ててくれる印象です!
一方で、演者目線で観てしまう私は、気が気ではありません……
ポケモンの曲は、かなり複雑なリズムや変拍子、転調があるので、全体的に難しい印象。
すぎやまこういち先生の曲とは、また違う魅力があります。
しかも…気づきましたか?
全部原調なんですよ!!!!!
普通、楽器で演奏しやすい音域にするために調を変えるのですが、これは全部原調。
ゲームそのままのBGMを再現しています。いやぁ…すごいわ……
トランペット
メドレーに入った時、なぜ色違いイシツブテさんのトランペットが3台あるのか、理由が分かりました。
それぞれの曲に合わせて、楽器を持ち替えているんですね。
例えば、サイズの小さいピッコロトランペットは、高い音を鳴らすことができます。
音域や調が違うというのもありますが、曲によってトランペットが担う役割が違う。なので、役割に合わせて楽器を持ち替える。
しかも、1曲の中で瞬時に3台持ち替え…ヒエェェェ……
メロディーを担当する曲もあれば、効果音を担当することもあるし、トリルと言われる連符(野生のポケモンに出会ったときの冒頭の音など)を担当するときもあります。
ポケモンアンサンブルのトランペットは、かなりオールマイティなスキルを求められますね。
こんなのやると思ったら、前日から食事がのどを通りません……
ホルン
一方で、ホルン・トロンボーンも忙しい。
ホルンは、トランペット・トロンボーンが担いきれないところのポジションをうまく賄っています。
相変わらず、裏拍(裏打ちと呼んだりします)、細かい連符が多いですね。
この編成では、完全にサポート役に徹している印象です。
トロンボーン
トロンボーンは…忙しすぎません?????
中盤のクラシックを、こんなに穏やかに感じたことはありません。
特にバストロンボーン、休みなんてもんは存在しません。
ベースパートは常に音を鳴らしていることが多いので、体力の消耗が激しいです。完全にスタミナ勝負。
プレイヤーとしては、いかに体力を温存するかがポイントです。
隣にいるテナートロンボーン(正確にはテナーバスですね)が、トロンボーンの中でも高音のところを担ってます。ナイス分担。
曲の合間も見てみる
よく見ると、皆さん口元が赤くなっているの分かりますか?
あれは、長く演奏した時に、マウスピースの跡が残ってしまう現象です。
跡が残っているということは、相当出番が多いということ。
5人しかいないので基本休みは少ないですが、曲が忙しいということもあって、いつも以上に大変なんだと思います。
これを涼しい顔で演奏するN響の皆さんが、本当にすごい。こういうのがプロなんだと思いました。
おまけ
最後に、バストロンボーンがチューバになった編成をご覧いただきます。
Oh…シンフォニック……
がらっと印象が変わりました。
セットリストが異なるところもありますが、全体的に落ち着いた雰囲気になりましたね。
どちらも素晴らしい。
これを無料で公開してくれているポケモンYoutubeの運営さん、本当にありがとう。
ぜひ、全国にポケモンアンサンプル来てほしい!!!
個人的には、最新ポケモンの曲だけでなく、初期ポケモンの曲も混ぜてくれているのが激熱です。
おそらく、子どもだけでなく、初代をプレイしていた親世代にも楽しんでもらうためなんでしょう。こんなの生で聴いたら多分泣いちゃう…
ポケモンYoutube、大人も楽しめるコンテンツがたくさんあるので、ぜひ一度観てみてください!