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廃れていく日本文化…救世主はいったい誰か?

こんにちは、あんでぃです。

突然ですが、日本酒はお好きでしょうか?
今や、さまざまなラベルの日本酒が売られていて、この数十年で日本酒業界も様変わりしましたね。
あんでぃはもともとアルコールに弱いため、お酒を嗜むことにはあまり興味はないのですが、文化としての日本酒にはとても興味があります。

お酒はどこで生まれたのだろう?
昔の人はどうやってお酒を嗜んでいたの?

といったことに思いを馳せるだけで、なぜかワクワクしてきちゃうのです。

日本の伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されました。
そのタイミングにはじまった界 玉造の手業のひととき。
蔵元が伝える酒造りの世界と日本酒の美味しい飲み方
酒造りの工程を体験し、蔵元おすすめの酒の飲み方を指南いただくといった内容です。

本日はこの手業のひとときにアテンドした時に感じたことを綴ろうと思います。

手業のひとときとは?
地域の文化を継承する職人や作家、生産者の方の希少な技を間近で見たり、一緒に行うことができるご当地文化体験です。旅先で地域の方の営みに触れると新鮮な気持ちになったり、心が豊かになる。そんな「ひととき」を全国の界でご用意しています。


出雲市の酒持田本店

伺ったのは、出雲市平田町の酒持田本店。
売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしを目指した3本線が特徴の「ヤマサン」ブランドの日本酒を醸す、小規模の酒蔵さんです。
国の文化財にも指定されている建物は1877年からの悠久の歴史を感じさせてくれます。

今回は日本酒大好き!とおっしゃる海外のお客様がいらっしゃいました。
通訳を覚悟していたのですが、幸いにも日本語を流暢に話す方だったもので、ほっと胸を撫で下ろしました。


酒が生きていた

蔵元である持田社長のご案内で、酒蔵内を見学させていただきました。

なぜ、昔の家は道路に面した部分が狭く、奥に中庭があるのか?
(⇨税金対策のため)
なぜ、階段は急なのか?
(⇨単純に省スペース化のため)
といった、豆知識にへぇーを連発。

次第に、口噛み酒の話になりました。
そう、昔は巫女さんが米を噛み、発酵させた口噛み酒というものがありましたが、参加された外国のお客様もご存知のようでした。
映画『君の名は』で知ったと。
日本のアニメの力はすごい。
今や外国の方々は、さまざまな日本文化を知っていますね。

現代社会とは趣の違う、蔵の中を巡っているとまるで時代を遡ったかのような錯覚を覚えます。
酒造りの現場で、どの工程が行われているのか、蔵元の言葉がひんやりとした蔵の中で響いています。

酒米に酵母を振りかける工程


この時期にしかみられないタンクの中で醸造されるお酒のもとと出会いました。
いわゆるどぶろくの状態ですね。

白濁し、どろどろとした液体の表面を見てみると、
「ぶくぶくぶくぶく」
と泡が浮き上がってきます。
その時、なぜか愛おしい気持ちになりました。

手塩をかけて育てられたお米が酵母と出会う。
酵母はお米の持つ糖分を嬉しそうに食べ、発酵を促す。
お米と酵母の共同作業で、アルコールと炭酸ガスが生まれ出る。

酒は生きている。
浮き上がってきた大小様々な泡がそのような気持ちにさせてくれたのです。

その後、櫂入れという貴重な工程を体験させていただきました。
船のオールのような櫂という木の棒でタンクの底からかき混ぜる。
酵母と米がうまく交合するように、真心を込めて。。。


酒造りって日本人の叡智の結晶

その後は、四角い木の箱のところへ移動。

ここでは、先程の濁酒を布に入れて絞る工程を行います。
ここで、酒粕と分かれるのがいわゆる「原酒」「生酒」「澱がらみ」と呼ばれるものです。
ゆるく絞ったものは「にごり酒」となります。

そこから火を入れて殺菌をしたり、水を加えてアルコール度数を調整したり、とさまざまなお酒に変わっていきます。

酒造工程をかなりはっしょっしまいましたが、それぞれの工程にもさまざまな工夫が加わります。
科学技術が発展していなかった時代に、酵母を発見し、勘と経験によって作られてきたことに驚きです。
まさに日本人の汗と涙の賜物であり、叡智の結晶といえるものではないでしょうか。


絶滅危惧文化を救うのは?

とはいえ、時代の流れとともに、酒造りは危機に瀕していると言えます。

引用:ACコンサルティング

今や、さまざまな種類のアルコールが巷に溢れています。
蔵元の数は年々減っており、一方で酒造の免許を新たに取得するのは難しいと言います。

もはや絶滅危惧文化とも言えるかもしれない日本酒文化。
私は日々、観光に携わる中で、こういった大切な文化の忘れられそうな価値に気づいているのは外国の方々ではないかと感じています。

今回同行させていただいた外国の方々。
とにかく日本酒が大好きで、蔵元のお話が直接聞けること、酒造りの工程を一部体験できることから参加を楽しみにしていたようです。
蔵元の一言一言に大きく頷き、
米違いや温度違いのお酒の楽しみ方に感動している彼らの横顔を見ながら思いました。
こういったディープな日本文化の体験に、
目新しさを見出し、
新鮮な気持ちで感じられることができるのは、
外国人ならではではないかと。
身近すぎて、
当たり前すぎて、
通り過ぎてしまいがちな日常。
そこに光を当ててくれるのは彼ら「よそもの」の視点ではないでしょうか?

オーバーツーリズムで何かと騒がれています。
確かにたくさんの観光客が押し寄せて大変な思いをされている方も多いと思います。
一方でこの機会(チャンス)に日本のさまざまな文化の価値に焦点が当たるといいな、と感じた1日だったのでした。


おもてなし産業をかっこよく。
あんでぃでした。


島根の日本酒文化に触れる手業のひととき



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