スポーツ庁がパブリックコメントを実施しましたが、スポーツ庁にとって都合の良い意見の多くが公開され審議されました。
第3期スポーツ基本計画
2021年12月21日、スポーツ庁政策課は、2022年1月19日を期限とする、第3期スポーツ基本計画(中間報告)に対する意見募集(パブリックコメント)を実施しました。
意見総数は670件でした。前回の第2期では252件でした。2倍以上増えました。(2022年3月25日)
推進派の意見が多数
国民からのパブコメの意見を取りまとめた文書「第3期スポーツ基本計画(中間報告)等に関する主な意見の概要」がスポーツ審議会スポーツ基本計画部会(第12回。2022年1月31日)など複数の審議会で委員に配付されました。
パブコメによる国民からの意見は賛成の意思表明を基調としていることから、委員から「国民がスポーツに対して前向きな関心を多く持つようになった」という趣旨の感想がでていました。
例えば、次の意見が国民からパブコメで出されたとされています。
しかしながら、この意見は、計画の中に既に記載されてある趣旨の文言そのままです。このような意見をパブコメで投稿しても意味はありません。
計画に賛同の意を持つ者は、自分の望む方向へと計画が既に進んでいるのですから、パブコメにわざわざ投稿する必要は生じません。
一般論として、パブコメには反対の意見を投稿するものです。
私は、反対の趣旨の32件の意見を提出しました。
計画への反対意見などに対して、国の考え方を示すことにより、国民の疑問を晴らすのが、パブコメの意義です。
私の意見は、ほとんどが無視されました。
賛成の意見の持ち主は、賛成の意思表示などする必要はないのです。また、役所でも、賛成の意見を開示する必要はありません。役所は、異なった考え方や、反対の意見について、審議をすべきなのです。これがパブコメの正しいあり方なのです。
私の反対の意見は、無視されたり、縮小されたりしましたし、何も議論はなされませんでした。
スポーツ庁にとって都合の良い意見だけを取り上げていました。
本パブコメは、「スポーツ政策は国民からの賛同を得られている」というスポーツ庁の自画自賛の演出です。
スポーツは正々堂々とあるべきなのに関わらず、スポーツ庁はまったく民主主義的ではありません。
以下に、私の、第3期スポーツ基本計画の(完成版に対してではなく)中間報告に対するパブコメで提出した意見を掲載しておきます。
その1 ラグビーワールドカップ2019™について
私の意見
計画における該当箇所 「はじめに」 3ページ 第2段落
「第3期スポーツ基本計画(中間報告)に関する意見募集の結果について」での掲載は次のとおりです。
文部科学省によって集約されたと推測される私の意見 第2ページ
文部科学省の考え方 第2ページ
その2 ラグビーワールドカップ2019™への評価
私の意見
計画における該当箇所 「はじめに」 3ページ 第2段落
その3 「Well-being」の考え方
中間報告におけるWell-being 13に関する注釈(完成版では修正されています)
私の意見
文部科学省によって集約されたと推測される私の意見 第3ページ
文部科学省の考え方 第3ページ
私の感想:閣議決定では「エビデンスに裏付けられた効果的な政策やデータ収集等に予算を優先」が重要なのであって、それを実現する一環(手段)として、「人々の満足度(Well-being)を見える化」があるということです。
スポーツ庁は、主観の満足度を高めるWell-beingという都合の良い部分だけを切り取ってきているのです。「人々の満足度」の「人々」とは、スポーツ愛好者のことです。
満足度を高めるために、国民の主観に直接働きかけ、「楽しい」と思わせるのです。
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 2.スポーツ基本計画における「スポーツ」の捉え方 10ページ 第4段落
その4 スポーツの多面性
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 2.スポーツ基本計画における「スポーツ」の捉え方 10ページ 第4段落
文部科学省によって集約されたと推測される私の意見 第3ページ
文部科学省の考え方 第3ページ
私の感想:上記「私の意見」の第一段落だけが切り取られ、「意見の概要」に掲載されました。これだと、後段で述べた問題意識が通じなくなります。
その5 列挙された例が不適切
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 2.スポーツ基本計画における「スポーツ」の捉え方 10ページ 第5段落(完成版では11ページ)
その6 「できると考えられる」
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 2.スポーツ基本計画における「スポーツ」の捉え方 10ページ 第5段落(完成版では11ページ)
その7 新型コロナウイルス感染症の影響
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 11ページ 第3段落
その8 スポーツの価値
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 11ページ 第4段落
その9(重要)コロナ禍という非常事態
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 11ページ
計画での記載内容
私の意見は次のとおりです。
その10 努力を重ね、全力で挑む行為
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 11ページ 第8段落(完成版では12ページ)
その11 「仲間同士で励まし合う姿」
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 12ページ 第1行目(完成版は第3段落)
その12 「スポーツをささえる」
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 12ページ 第2段落
その13 「人々の心を動かす力」
私の意見
計画における該当箇所 第1章 社会変化の中で改めて捉える「スポーツの価値」 3.新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポーツの価値」 12ページ
その14 「環境を整えていく必要」
私の意見
計画における該当箇所 第2章 中長期的なスポーツ政策の基本方針と第3期計画における「新たな視点」(第3期計画の新たな視点1-スポーツを「つくる/はぐくむ」-) 15ページ 第1段落(完成版は16ページ)
その15 「存在・意義を発信」
私の意見
計画における該当箇所 第2章 中長期的なスポーツ政策の基本方針と第3期計画における「新たな視点」(第3期計画の新たな視点1 - スポーツを「つくる/はぐくむ」 - ) 15ページ 第3段落(完成版は16ページ)
その16 「スポーツ・レガシー」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 17ページ 第2段落(完成版は18ページ)
おそらく、「第3期スポーツ基本計画(中間報告)に関する意見募集の結果について」における掲載は次のとおりです(推測)。
文部科学省によって集約されたと推測される私の意見 第7ページ
文部科学省の考え方 第7ページ
上記「文部科学省の考え方 第7ページ」に対する私の考え方は次のとおりです。
「新型コロナウイルス感染症の影響と東京大会の開催を通じて再確認された「スポー ツの価値」」の項目は、新型コロナウイルスの影響という文脈です。
私の意見は、「東京大会は、一部の優遇されたアスリートのための大会であり、興味関心の無い国民から見れば不要不急の事業で」あるという意見であり、東京大会に関するそもそも論です。
このような、そもそも論に対する考え方は、何も示しておらず、無視し続けています。
その17 「考えられる」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 17ページ 第2段落(完成版は18ページ)
その18 「国民の誇りや喜び、感動」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (1)東京大会の成果を一過性のものとしない持続可能な国際競技力の向上 17ページ 第1段落(完成版は18ページ)
その19 「東京大会における好成績」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (1)東京大会の成果を一過性のものとしない持続可能な国際競技力の向上 17ページ 第1段落(完成版は18ページ)
その20 「国際競技力の向上」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (1)東京大会の成果を一過性のものとしない持続可能な国際競技力の向上 17ページ 第2段落(完成版は18ページ)
その21 「共生社会の価値」
私に意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (3)東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進 18ページ 第1段落(完成版は20ページ)
おそらく、「第3期スポーツ基本計画(中間報告)に関する意見募集の結果について」における掲載は次のとおりです(推測)。
文部科学省によって集約されたと推測される私の意見 第6ページ
文部科学省の考え方 第6ページ
上記「文部科学省の考え方 第6ページ」に対する私の考え方(3点)
1.「東京大会を契機」にする必要性はなく、何らかの契機とは関係なく、バリアフリー・ユニバーサルデザインの有意義な仕様や利活用方法等に関する情報発信は、常に行われるべきです。
2.「スポーツを実施する者の多様なニーズを踏まえ」る必要性は無く、日常生活を生きる生活者の多様なニーズを踏まえるべきです。
3.「文部科学省の考え方」が示されたものの、やはり、それは、スポーツを前提にした考え方であるため、日常世界における「共生社会の実現に向けた取組」とは言えません。
その22 「意識の醸成」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (3)東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進 18ページ 第1段落(完成版は20ページ)
その23 医療資源
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (3)東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進 18ページ 第2段落(完成版は20ページ)
その24 オリ・パラ教育
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (3)東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進 19ページ 第2段落(完成版は20ページ)
その25 子供たちの体力低下傾向
私の意見
補足説明:私の意見が分かりにくいので簡単に書いておきます:「子供たちの体力低下傾向の食い止め」は、子どもたちのためを目的とするのではなく、「東京大会における知見・経験等を次世代につなげていくため」が目的であることは、不当です。
なお、完成版では、修正されており、私が指摘した文は存在しません。
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (3)東京大会を契機とした共生社会の実現、多様な主体によるスポーツ参画の促進 19ページ 第3段落(完成版では21ページ 第2段落)
その26 「スポーツへの関心の高まり」
私の意見
計画における該当箇所 第3章 東京大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、特に重点的に取り組むべき施策 (4)東京大会で高まった地域住民等のスポーツへの関心をいかした地方創生、まちづくり 19ページ 第1段落(完成版では21ページ)
その27 共生社会の実現
私の意見
計画における該当箇所 第4章 「新たな三つの視点」を支える具体的な施策 2.「あつまり」、スポーツを「ともに」行い、「つながり」を感じる(新たな視点2)(1)スポーツを通じた共生社会の実現 23ページ(完成版では25ページ)
第5章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策 (8)スポーツを通じた共生社会の実現 51ページ(完成版では55ページ)
その28 スポーツ産業
私の意見
計画における該当箇所 第5章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策 (6)スポーツの成長産業化 47ページ(完成版では50ページ)
その29 アスリートのキャリア形成
私の意見
計画における該当箇所 第5章 今後5年間に総合的かつ計画的に取り組む施策 (10)スポーツの推進に不可欠な「ハード」「ソフト」「人材」 3スポーツに関わる人材の育成と活躍の場の確保 b.アスリートのキャリア形成 59ページ(完成版は62ページ)
その30 一過性のものに終わる理由
私の意見
計画における該当箇所 第6章 施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項 3.第3期計画実施のための財源の確保と効率的・効果的な活用 71ページ 第2段落(完成版は75ページ)
その31 様々な主体
私の意見
計画における該当箇所 第6章 施策の総合的かつ計画的な推進のために必要な事項 4.第3期計画を支える様々な主体に期待される役割とそれに対する支援 72ページ 第1段落(完成版は76ページ)
その他
次の意見も提出しましたが、この記事での公開を省略します。
・文言の掲載場所の移動を求める意見
最後に
役所にスポーツ政策に対する批判意見を提出した場合、無視されます。
大阪府もそうでした。
「第3次大阪府スポーツ推進計画」の策定及び計画(案)に対する府民意見等の募集結果
第3次大阪府スポーツ推進計画の策定について
東大阪市でもそうでした。
スポーツ庁は、スポーツマンを気取り、公正であるかのように演出していますが、まったく公正ではありません。
以上
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