ベランダコーヒーまでの道のり その二
コーヒーを淹れる時間は、コーヒーを飲む瞬間と同じくらい心地いいひとときです。ポイントは、余計な事を考えず、目の前の作業に集中することです。
まずは、お気に入りの豆を挽きます。
豆をキャニスターから出すときに、その豆の香りを楽しみながら味を想像します。豆を挽くときは、電動より手動の方が豆と対話しているような感覚を味わえて、気持ちも落ち着きます。
挽き終わった粉状のコーヒーをペーパーフィルターに入れ、シナモンを数振り入れるのが私流です。
ここでミルクの準備をします。ミルクは、電子レンジで一分温めそのまま置いておきます。
その間にコーヒーを淹れていきます。
たっぷり十五分ほど沸騰させておいたお湯をサーバーに移しかえ、軽くコーヒーが膨らむようにゆっくり注ぎます。このぷっくりと膨れ上がってドームが作られる様子は何度見ても飽きません。一番味を期待させられる瞬間でもあります。
それから、一投目を円を描くようにそーっと注ぎます。細かな泡がプツプツとできて香りが強くなってくるように感じます。お湯がカップに落ち切る前に二投目から四投目までを同じように注いでいきます。
ここまでに適度に温度が下がったミルクをフォーマーで泡立てます。
フォーマーの回転音が高音から低音に変わって、ミルクがシルクのような艶のある泡立ちになったら完成です。
軽くかきまぜて渦を発生させたコーヒーに、泡立ったミルクを注ぎ入れます。さらに少しスプーンでかきまぜた後、残りのミルクを注ぎますが、このときはかきまぜません。こうすることで、たっぷりのフォームミルクが白い帽子のようにコーヒーの上にのっている状態にすることができます。
これで、できあがりです。
いざ、カップを持ってベランダへ。
ただ黙って、朝日を浴び、季節の音に耳を傾けながら、味わって飲みます。
この時間があるだけで、いろんな雑念を一瞬忘れて、また今日も頑張ろうと前向きになれます。忙しい平日にこそ、この静寂の時間は効果を発揮します。
新しい今日という日にコーヒーで乾杯。