心理学 3大巨頭
"人間の心理を探求しようという情熱は古くから多くの哲学者や宗教家などの心をとらえてきましたが、それが心理学という学問のかたちをとってあらわれてきたのは比較的新しく、19世紀半ばのことです。
そして19世紀後半から20世紀前半にかけては、後に3大巨頭と呼ばれることになる偉大な学者たちが次々と登場し、今日ある心理学の基礎を築き上げました。その3大巨頭とは、ジークムント・フロイト、カール・グスタフ・ユング、そしてアルフレッド・アドラーの3人です。
1856年に当時オーストリアの一部であった現在のチェコに生まれたフロイトは、精神分析学の創始者として知られています。彼は無意識という概念を提唱し、人間が自分の意志に反した行動や不合理な行動を取ったりすることがあるのは、この無意識が関係していると主張しました。簡単に言えば、「心の裏側」を初めて暴いた人であると言えます。
このフロイトと共同研究を行い、後に袂を分かったのが1875年生まれのスイス人、ユングです。
ユングの主な業績は2つあります。1つは、治療の現場において治療者と患者の「対話」を重視したことです。これは、現在の心理療法において主流となっている「カウンセリング」の基礎となっています。
もう1つは、フロイトが提唱した無意識の概念を、個人から集団にまで拡張したことです。彼はこれを集合的無意識と名付け、古代神話などの分析を通じて個人レベルを超えた深層心理を探るための手がかりとしました。
最後のアドラーは、1870年にオーストリアで生まれました。彼は個人心理学という概念を提唱し、最小の単位としてそれ以上分割できない個人が、過去の原因などではなく現在の目的に基づいて行動するのが人間であるという主張を行いました。
意識と無意識の間に葛藤や対立はなく、個人の主体性や創造性を重視するという彼の考えは、見方によっては非常にポジティブな思考であるとも言えるので、現在では心理学にとどまらず自己啓発や人生論などに援用されることもあります。"
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