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【映画感想】落下の解剖学(2023)

タイトルに惹かれて気になっていたところ、アマプラ配信開始で視聴。
パルムドール受賞作ときいて、納得。
地味なシーンの多い長編(2時間半)だけども、飽きさせない実力あり。

ミステリ?サスペンス?と思わせておいて、結局は社会派ヒューマン系なのかな。心は温まりませんが、犬の尊さは感じます。名演過ぎるドッグはパルムドールならぬパルムドッグを受賞してるんだそう。辛い描写があるのですが、それを乗り越えてこその受賞かもしれません。俳優さんはそうやもんね。

ストーリーは、真実は藪の中タイプ。有名俳優出演無し、登場人物も絞られていて、和ませステレオタイプキャラは不在、事件もスキャンダラス性が強くもない(弱くもないけども)、長尺に耐えられるのかと思いきや、2時間半見れてしまう。
赤裸々描写も最低限のように感じられるし、そこから予想される陰湿な展開もドライ。過剰な感情描写も抑えめ、ジャーン!なシーンがあっても淡々。
法廷劇パートも、信頼できない語り手方式の映像演出(事実の回想無し・誰かの記憶の再生)で考えさせられる。
BGMが少ないのも効果的で、劇中でかかる音源(Bacao Rhythm & Steel BandのPIMP、クセになる…)と実際のピアノ演奏数曲のみが光る。
夫婦や家族の在り方、ジェンダーなどのバイアスを練りこむ現代劇ながら、フランスの解像度なのかヒリヒリ感薄く(私だけか?サイコパスに慣れすぎ?)、最後に家までたどり着いて息子君と抱き合えて、最後に愛犬と眠りにつく薄暗い画面に安堵を覚えたものな…色々と事故らなくて良かった。
あとは自分で盛っておきますね…では帰ります…という気分。

ビジュアルも抑えめながらフランスのオシャレスパイスはふりかけてあり、カメラワークもあやうい視点を表していて面白い。雪山なのもいい。あと家とその立地最高なのに全く言及されずなのも。

俳優さんはどなたもすごくよかったけども、弁護士役のスワン・アルローの顔が単純に非常に好みでした(笑)フランスの俳優さんだそうで、また見たいな…

藪の中設定を活かした不穏さがひっぱる2時間半。なにが良かったか説明しにくいいつものパルムドール作品ではありますが、割と好みの作品でした!

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