まったくの素人が彫塑(ちょうそ)で藤井風フィギュアに挑戦する<振り返り編>
藤井風フィギュアを見守り、応援してくださった皆様へ そして続編、どうするか問題
先週、年始から半年間かけて作ってきた藤井風フィギュアが完成しました。note公式さんから「今日の注目記事」に選ばれたり、公式アカウントでツィートしていただいた反響は、想像以上に大きかったです。
フォロワーさん以外の方で、初めて見てくださった方も多数いらっしゃいました。初めての彫塑、しかも素人の作品に、お時間を取ってご覧いただけたこと、うれしい限りです。ありがとうございました。
「彫塑(ちょうそ)用粘土って?紙粘土と、何が違うんだろう?」
と言っていた”まったくの素人”だったわたし。紆余曲折を繰り返しながらも完成までこぎつけられたのは、記事をupするごとに「スキ」や「いいね」をくださり、ずっと見守ってくださった方々のおかげです。
フィギュア作りは地味で孤独な作業です。それこそ”映え”ません。制作中は思うように時間が取れず技術が未熟なこともあり、どうしたものか…と悩んだことも。一人でただ、黙々と作っていただけでは、きっと半年間で完成まではこぎ着けられなかったことでしょう。(着手当初から、藤井風さんのお誕生日が完成の目標でした)
でも「楽しみにしている方がいらっしゃる」と実感することが、次の手を動かす決め手になりました。「完成までの記録をnoteに連載します」と宣言してよかったです。(ちなみに、風さんフィギュア作りが辛くなったことは1度もありません。自分の手の中で、徐々に美しい藤井風さんが形作られていくのは、楽しくてたまりませんでした)
インタラクティブ(双方向性)メディアの温かさと可能性も感じた半年間
「次のnoteも楽しみにしています」
「忙しいのに、がんばってるんですね」
「どんどん風さんになってきてますよ」
と声を掛けてくださった方も、たくさんいらっしゃいました。これは本当に励みになり、うれしかったです。ありがとうございました。
感染症対策で、ステイホームや在宅ワークが日常となりつつある今日この頃。人と人とのつながりが希薄になりがちなご時世ですが、こんな時だからこそ双方向性のあるSNSメディアや、noteというプラットフォームの可能性を感じた半年間でもありました。
で結局、続編どうするか問題、勃発中
「完成した風さんフィギュアが見られるのはうれしいけれど、これでもう風さんが見られなくなるのは、とても寂しいです」
「(ものすごく大変な作業なのはわかっているのですが)、いろんな風さんも見てみたいです。お着替えもさせてあげて」
「風さんの信頼する、マネージャーのずっずさんも作ってほしいです」
うれしいことに完成が近づくにつれて、このようなお声をいただく機会が増えてきました。
実は本体に着手する前に、練習用で作った頭部だけの風さんが2体あります。
もし、藤井風フィギュアの続編をやるなら、見守ってくださった皆さんのご意見を反映させつつ、制作を進めていけたら楽しいのでは?
早速、Twitterでアンケートで皆さんの声を聞かせて!とお願いしてみました。
今のところ、断トツでずっずさんこと、WDM河津マネージャーを希望される声が多いです。ですが、藤井風さんに比べて写真や資料は極端に少ない河津マネージャー。一体どうしましょう… しかし、仕事でもプライベートでも、風さんを支えるずっずさんへの敬意は表したい。かなり前向きに、いえ前のめりに検討しております。
河津マネージャーの素晴らしさを書いた記事です
バージョンアップしたフィギュア制作に向けて充電中
というわけで、さまざまなフィギュア作成のサイトで勉強中です。
マダム・タッソーの公式YouTubeチャンネルを見つけました。
彫刻師アレックス・カーライルが、ワン・ダイレクションのメンバー、リアムの等身大フィギュアを作る様子が撮影されています。頭部を粘土で作る様子が見られる動画です。
「まずは約250カ所の身体計測と、同程度の数の写真撮影をしました」
「気の優しい好青年だったので、表情にもそれを出したかった」
5週間かけて、計測値や資料をチェックしながら進めるそうです。
「課題の一つは顔を正確に造形すること。細部を的確に捉え、再現することです。やはり大変でした」
同じくワンダイレクション ハリーの等身大フィギュアを作る様子
主任彫刻師のジム・ケンプトンでも
「写真だけではつかめないものもあります」
「納得のいく土台ができたところで、改めて確認したい点も出てきます」「幸いなこと40分ほど(フィギュアと)並んでもらって確認できたんです」と話していました。
プロの彫刻師でもそうなんですね。他の彫刻師の方も「言葉で言い表せない表情、その素敵な雰囲気をフィギュアでも、うまく再現できていれば幸いです」「本人はもちろん、ファンの皆さんにも、よろこんでもらえたらうれしいですね」と話していました。納得する作品にするために、妥協を許さず取り組む姿勢、素晴らしいです。弟子入りしたいぐらいでした。
こちらは葉加瀬太郎さんの等身大フィギュアを作る様子
粘土での肉付けや、石膏取りの様子、髪の染色(カラーリング)、植毛(ろう人形なので本当に1本ずつ植えている)など、等身大だと大掛かりで大変です。ですが、大きさは違えど基本的なことは同じ。まつ毛や眉毛、ヒゲや顔のシワまで、メイクするように描く様子は、とても勉強になりました。
リアルさ(再現性)の追求と、その先に目指すもの
わたしの作った風さんフィギュアは、身長約50センチです。実物の風さんは身長181センチですから、実物の約4分の1より少し小さいくらい。手を動かす範囲は少なくて済みますが、そのぶん細かいパーツを作り込むのが難しいです。
フィギュア作りの際、参考にした風さんの写真は、お顔だけで308枚ありました。フォロワーさんから「フィギュア制作の参考に」といただいた写真で、ピアノやキーボードを弾いている手や指のアップなども含めると、もう少し多くなるはず。
「藤井風さんが配信ライブでやっていた”寝そべり”の姿勢でキーボードを弾いているところなども、見られるとうれしいです」
「ヒゲも植毛できるんですか?」
フォロワーさんから、そんな質問もいただきました。
わたしの作った風さんフィギュアは、ポーズ固定です。関節が動かないので、好きなポーズを取ることはできません。なんとか自由にポーズを取らせることはできないものかと、あれこれ考えています。(球体関節人形など)
眉毛やまつ毛はパーツが小さく、張り子の上に布を貼っていることもあり、全て手描きです。ヒゲや眉毛などを、よりリアルに再現するには、どううすれば良いのか。これはマネージャーのずっずさんを作るとすれば、最重要課題のひとつになりそうです。
モデルの内面まで映し出すよう 愛情をもって見る
彫塑の指導とアドバイスをしてくれた義母は「まずはモデルを愛情をもって”よく見ること”」が大切だといいます。
どこに影があるのか。膨らんでいるところ、へこんでいる部分はどこか。実際に目で見て、確認しながら作るのが基本なのですが、それができなければ写真でやるしかありません。
そして最も肝心なことは
「その人の内面も映し出すように作る」
これが一番大切なのだ、と言っていました。
容姿の美しさは先天的なものが大きい。しかし、風さんのピアノのテクニックや、音楽性の高さ、人間的な魅力は努力で身に付けたものです。
生まれつきの美と才能を与えられた人が、人一倍努力を重ね、その結果として身に付けたものは、何よりも強く、そして美しい。
「わしは、誕生日を孤独に過ごしている人に寄り添いたいんよ」
「(みんなと写っている)誕生日会の写真、SNSにあげないの?」と、河津マネージャーに問われた時に、返した風さんの言葉です。
皆に愛され、全てを”持っている”ように見える風さんですが、これほど光の当たる場所で注目を浴びていても、孤独を抱える人のことを想像できるとは。優しい人です。
それと同時に、彼は華やかな場所にいても、孤独を感じる瞬間を知っているのだと。それ故の、思いやりのある発言に、ますます感心してしまいました。
SNSでは、つい目指しがちな”映え”。以前彼はラジオで”映えなくてもいい”と話していました。きっと彼は見栄えだけではない本質を見ようとしているのでしょう。
人の表情には年齢を重ねるほどに、その人の生きざまが表れてくるものです。藤井風さんの表情が、これからどのように変化していくのかも、しっかりと見守っていきたいです。
藤井風「きらり」の歌詞をなぞったようなフィギュア制作過程
計測も無しに写真だけで、しかも当然ですが会ったこともなく、いきなり3次元の立体彫塑にトライするのは、かなり無謀な挑戦だったはず。
でも、それこそ”素人”で、専門的なことを「何もわからなかった」からこそ挑戦できた。「迷わずに行きたいけど保証はしないよ」的な冒険だったのかも知れません。
何か分かったようで
何も分かってなくて
だけどそれが分かって本当に良かった
まさに藤井風さん「きらり」の歌詞のようなフィギュア制作でした。
まだまだ知らないこと、知りたいこと、勉強することばかり。折に触れて続編へ向かう道のりも綴っていけたら、と思っています。また、気長にお付き合いいただけるとうれしいです。
2021年1月~6月まで、定期的に”藤井風フィギュア”が完成するまで、全22回の記録を綴ったマガジンはこちら。
藤井風さんのこと、いろいろ書いてます。
画像引用:藤井風公式YouTube 藤井風アプリ
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