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映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を見た
最初に白状しておく。
「あのリアル・ミケランジェロの彫刻のような美貌の持ち主、ティモシー・シャラメを大きなスクリーンで観たい!ピアノ弾き語りシーンを堪能したい!」
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わたしは、ただその一心だけで(映画のストーリー予習もそこそこに)この映画を観る事に決めた。
結論としては、ティモシー・シャラメの美しい姿を堪能したければ、
「今すぐ映画館へ足を運ぶべし!」
なぜなら、画面に現れる人、ファッション、風景、建築物、インテリア、調度品、そして音楽まで・・・全てがおしゃれで華麗なる美しさだからだ。先ほどまで映画館にいて、興奮冷めやらぬうちに、文章をしたためておこう。
前置きしておくと、ティモシー・シャラメを知ったのは、つい3日前。封切り前の映画広告で見かけたシャラメ君に目が釘付けになった。1995年生まれの24歳、身長182センチ、ピアノの弾き語りもできる貴公子って・・・「これ、藤井風じゃ!?」どちらかがオリジナルで、どちらかがコピーと言うわけではない。だが洋の東西を問わず、誰が見ても双方共に、正統派の美青年である。
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元々、シンガーソングライター藤井風さんのファンであるわたしは、その面影を感じるシャラメが異常に気になり、ネット検索の海で溺れることになった。
ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet 1995年12月27日 - )は、アメリカ合衆国の俳優。2017年の映画『君の名前で僕を呼んで』で第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。フランスとアメリカ合衆国の二重国籍。ティモテ・シャラメやティモティー・シャラメと表記されることもある。
舞台はセレブが集う街、ニューヨーク・マンハッタン。昨今のコロナ渦で映し出される貧困と危機に瀕した”カオスなアメリカ”はみじんも感じられない。めくるめく映し出されるのは、ファッション誌から飛び出してきたような、スノッブな香りのプンプンする洗練されたマンハッタンだ。映画のワンシーンのような・・・という例えがあるが、まさにこの映画はそんなシーンの連続。どこを切り取っても絵画のように美しい。
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映画の感想なのだが、ネタバレになるので、あらすじなどには、なるべく触れずに進めたい。と言いつつ・・・これから映画を観る予定の方は両手で顔を覆って指の間から、のぞいてください(笑)
シャラメ演じる主人公ギャツビーはニューヨーク・マンハッタンで生まれ育ったちょっとやさぐれ系の大学生。頭脳明晰なのだが、金持ちのボンボンにありがちな、自分の生き方を模索する典型的なモラトリアム青年だ。母親の敷いたレールに乗っかって入学したアイビーリーグを早々に離れて、郊外の小さな大学に通う。
ところで主人公が「ギャツビー」と来たら、もうピンと来るではないか。そう、あのアメリカ文学を代表する作品のひとつ、フィッツジェラルドの名著「グレート・ギャツビー」の主人公と同じ名前なのだ。最近では村上春樹氏の訳でも知られている。これで話の大筋は、もう想像に易いだろう。
ギャツビー(シャラメ)の話に戻そう。基本ファッションはトラッド。ツィードジャケットにチノパンのいわゆる「ラルフローレン」の定番だ。パーティシーンではネクタイも着用する。トレンドとは相反するお行儀の良いお坊ちゃま御用達のプレッピースタイルである。
教育ママに反体制でも、服装はNYハーレムのオラオラなB系に感化されなくてよかった。昭和生まれのトレンドに疎いわたしでも目が幸せだ。ウディ・アレン監督、衣装も監修したの?オラオラ系でなくてありがとう。
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ギャツビーが、雨に濡れながら街を歩く様子は優雅で絵になり過ぎる。匂い立つような貴公子とは彼のことだ。雨模様のマンハッタンの街であっても、まるでお釈迦さまのように後光がさして見える麗しさ。少々気になったのが182センチの長身を、あえて背中を丸めて歩くところ。これはモラトリアムな大学生といった役どころで、無気力感を演出するためにそうしている・・・と思われるのだが、まあいいや。
ギャッツビーも若いお兄ちゃんだけに、地方出身のガールフレンドに自分の”庭”であるマンハッタンの「イキれる」スポットに案内したくてたまらない。でもまぁ、その辺は、どこの国の男子も似たようなことをしたがるもんだなぁ(笑)
ガールフレンドは同じ大学に通うアシュレー(エル・ファニング)。美人で知的好奇心旺盛、キュートだが、地方の銀行経営者の娘でアリゾナ出身という設定。そのせいで洗練されていないというか、完全に垢抜けない世間知らずな田舎のお姉ちゃんぽいのだ。
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ジャーナリスト志望のアシュレーは、残念なことにお洒落なレストランでのランチや、セレブ御用達のホテルには、あまり興味が無い。有名監督へのインタビューと、新作映画の特ダネスクープの事で頭がいっぱいなんだよね。記者志望なら「自分だけには心を開いて話してくれるかも」と言う期待感や、そういうスリリングな駆け引きに心躍るのはわかるんだけど。ちょっとガードが甘い。でも手練手管でダンディなオジさまたちは、そこがかわいくもある。
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映画監督や脚本家、俳優ら「オジさま陣」は皆、浮き世離れしたアーティスト気質。世間知らずでうぶなアシュレーは、目いっぱい振り回されてしまう。だいたい、大学新聞の取材でもミニスカにセーター、ちっこいバッグにメモ帳1冊で世界的な映画監督に取材に行くなんて。新聞記者にはそんなんおらん。おしゃれ雑誌のライターさんは知らんけど(笑)いくら映画通で「クロサワが好き」って言ってみてもね。
マンハッタンでギャッツビーが同級生と話すシーンでは「だいたいアシュレーと言う名前が「風と共に去りぬ」のマヌケなアシュレーと同じ名前じゃん」と言ってバカにされるシーンがあったっけ。でもそういうウブですれてなさそうな女子が、都会で”消耗してる”ギャツビーには魅力的なんだろう。わかるよ。
恋人たちのすれ違いが物語の核となるわけだけれども、この映画のハイライトとしては別にあると感じている。中でもギャツビーが人生を憂いモラトリアムになった原因である(と思われる)母親との対話シーンが印象的だ。
文学サロンを主催、オペラやピアノを息子にすすめ、社交パーティにふける母親の口から「ドゥミ・モンド」(字幕では違ったようだが)が出ようとは。自分の出自を知り、母の潔さと過去を知ってからのからの、ギャツビーの振り切れ方が実に清々しかった。
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パンフレットにはレイニーデイ・イン・NY ロケマップなるページが写真入りで用意されている。映画でもメトロポリタン美術館からアッパーイーストサイド(ティファニーとかカルティエとかハイブランドのメゾンが立ち並ぶセレブの街)、セントラル・パークまでもが網羅される。近い将来、映画のシーンを回想しながら聖地巡礼できる日がくればいいのに。
そして忘れてはならないのが、この作品に彩りを与え、ほろ苦いスパイスとなっている音楽。ギャツビーが元恋人の妹チャンの家(またこのアパルトメントのインテリアとピアノを含む調度品がクラシックで優雅)でチェット・ベイカーの「エブリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」をピアノで弾き語るシーンが優美で印象的だった。雨のマンハッタンにBGMで流れる「ミスティ」。しっとりとしたジャズのスタンダードナンバーが、これほど似合う街は、そうないはずだ。
「全米が泣いた」的な扇情的な展開や、派手なCG映像はない。けれど誰もがふだんは心の奥底に閉じ込めているものを、静かにチクリと刺激されるに違いない。時折クスッとするコメディのエッセンスが散りばめられているのはウディ・アレンの妙技かな。
ティモシー・シャラメ君ファンの人、藤井風にメロメロなあんた、そしてNYマンハッタンの優雅で洗練されたセレブライフに憧れる方、ぜひ映画館へ足を運んでみてください。くれぐれもソーシャルディスタンスは守ってね。
映画の感想など
藤井風さんのこと、いろいろ書いてます
#ティモシー・シャラメ #藤井風 #チェット・ベイカー #ジャズ