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藤井風「きらり」は 世間の風向きを変える?


2021年5月3日 藤井風の新曲「きらり」がデジタルリリースされた。彼の楽曲でイントロ無し、いきなりヴォーカルから始まるものは初めてでは。

セブンスコードでリズミカルに裏拍を刻むキーボードや、ギターのカッティング、オクターブでのハモリなどが耳に残る。

1:42からの間奏ではシンセリードがユーロビートを思わせ、2:48あたりからは深いリバーブのエフェクトを掛けた多重コーラスや、トロりとした音色のギターアルペジオ、スネアと被るハンドクラップが90年代を彷彿とさせる。

3:09「どこにいたの~」のブレイクからシンセベースに。ベースの音色はサウンドの色(時代感?)が変わるのに合わせて、アナログから人工的な音色のシンセベースを使い分けているのも”ワザあり”な感じだ。


耳なじみが良くキャッチー なのに練られた構成


メロディーにはペンタトニックスケール(ヨナ抜き音階。ハ長調ならド・レ・ミ・ソ・ラ・ド 4番目と7番目の音を使わない。東洋を感じさせる音の並び)を多く使っている。

非常に耳なじみが良く、キャッチーで印象に残りやすい。構成としては基本的に1つのフレーズを少しずつ変化させながら展開してく「ループ」であり、「変奏(ヴァリエーション)」だ。

クラシックで例えるならラヴェルの「ボレロ」だろうか。もっとわかりやすい例えなら、モーツァルトの「キラキラ星変奏曲」。Yaffle氏が音大時代に学んでいたゴリゴリの現代音楽なら、ミニマルミュージックの巨匠、スティーヴ・ライヒの「ディファレント・トレインズ」などもある。

イケイケの売れ線志向?

テンポはダンスミュージックとして最適なBPM117。構成がシンプルなのでremixとしても扱いやすいはずだ。これからDJ諸氏がこぞってmixしてくれるのが楽しみでもある。ヒット曲に欠かせない”売れる要素”をギュッと詰め込んだ幕の内弁当のようではないか。



新型ヴェゼルとのタイアップソング発表からデジタルリリースまでを振り返る


まずは、先がけて公開された”ヴェゼルワールドプレミア動画”の印象が強かった。

54:35あたりからエレガントなピアノで始まる。このピアノ演奏は藤井風だろうか?上質なフュージョン風BGMと言った雰囲気だった。ぜひともインストゥルメンタルver.も聴いてみたい。


藤井風の初動時メインターゲットはバブル~人口のボリュームゾーン ポスト団塊ジュニア世代か?


HONDAのウェブサイトで公開された2分のVer.では90年代に流行ったインコグニート「JUMP TO MY LOVE」のような英国アシッドジャズ風サウンドに感じた。(こちらもトヨタ自動車「RAV4」CMソング )


デジタルリリースVer.を聴くと、1番は90年代を意識したアレンジ。
間奏からは一気に4つ打ちを前面に押し出し、80年代に
タイムスリップした。ちょっとチープな感じのシンセリードの音色と、サンプリング音源らしきシーケンス(打ち込み)の音色に懐かしさもMAXに。

80年代半ばからユーロビートで音楽シーンを席巻したプロデューサーチーム、ストック・エイトキン・ウォーターマン(以下、SAW)を彷彿(ほうふつ)とさせる。


SAWはわかりやすいコード展開、モータウン調のキャッチーなサビ、そして洗練されたサウンドをけん引する4つ打ちビートが特徴。当時のダンスミュージックシーンでは、同じくプロデューサーチームのジャム&ルイスと人気を二分していた。

リアルタイムで聴いていたバブル世代には懐かしく、それ以降の世代もクラブやハウスミュージックでのremixで何度も耳にしているはずだ。


藤井風とHONDAヴェゼルがシンクロ?



“GOOD GROOVE“ 世界に、あたらしい気分を。

世界に新しい風を吹き込み、気分を一新してくれる藤井風の音楽は新型VEZELのコンセプトともシンクロしている。

たどってきた道も、
めざす方向も違う誰かと、
それぞれの言葉で、
それぞれの表現で、
おなじものを楽しむその一体感は。
きっと、たまらないだろう。                     引用:VEZEL e:HEV ブランドムービー Music by 藤井 風「きらり」

90年代風のサウンドから80年代へタイムスリップし、また90年代から現代へ。いつの時代でも「何のために戦おうとも動機は愛がいい」

スネアロールのスイッチで現代の2021年に戻ってきた途端、「何もかも捨ててくよ」「新しい日々も 拙い過去も 全てがきらり」と歌う。


年齢や性別、国籍など全てのボーダーを超えて、人々に口ずさまれる音楽を目指しているであろう藤井風。新型ヴェゼルとはコンセプトの面でも合致しているはずだ。


河津マネージャーへの関心高まる


「きらり」のサウンド傾向は、80~90年代のユーロビート、ハウスなど4つ打ちダンスミュージックを意識している。

ドライブのお供という意味では御年46歳、90年代に青春時代を過ごし「青春病」ではプロデューサーとしてMV制作に参加したWDM河津マネージャーの意向も入っているのだろうか?

4月にはアプリ内で「もう少し強めの風が吹くと思います」とアナウンスした河津氏。これまでに藤井風の記事を28本書いてきたが、その中で彼に関しての記事が1本だけある。


ありがたいことに2021年2月にupしたにもかかわらず、継続的に読まれている。今月に入ってからもPV(ページビュー・記事を開いて閲覧した数)が上がり続けているようだ。PVに対し、スキの割合が他の記事に比べて高いのも特徴。今のところ河津氏の記事は33人に1人がスキしてくださっている。

昨年upした記事の中でも一番PVが多い「藤井風『へでもねーよ』はアップデートした藤井風の世界観が見える」 は63人に1人がスキ、次にPVが多い 藤井風日本武道館ライブ『Fujii Kaze “NAN-NAN SHOW 2020 ” HELP EVER HURT NEVER』@ 日本武道館を観て 42人に1人がスキしてくださっている。


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記事のPVとスキの割合を比べると、河津氏の活躍ぶりと手腕に魅せられている人が多いことがわかる。

藤井風のメディア露出が相次ぎ、CMタイアップで世間の注目が集まっているのは間違いない。同時に、彼の売り出し方、つまり”藤井風プロモーション戦略”の立役者、河津氏への関心の高さを物語っているのではないだろうか。

緊急事態宣言発動中で先の見えない閉塞感が漂うG.W.。初のタイアップでの新曲発表も、世間の動向をじっと見据え、タイミングをうかがいながら緻密な計算の上でなされているに違いない。

人口のボリュームゾーンでもあり、サブスクではなくフィジカルで物販の売り上げが期待できる世代を、初動でのメインターゲットにしているとしたら…。そうだとしても、河津氏の戦略に乗って心踊らせるのも楽しいものではないだろうか。


藤井風の”プライマリーな”音楽性に新旧のサウンドエッセンスを取込み、焼き直しではなく懐かしくも新しいサウンドを誕生させるプロデューサーYaffle氏。その引き出しとテクニックにも、うならされるG.W.後半になりそうだ。


Yaffleさんって、どんな風に藤井風の音楽制作に関わってるの?興味を持たれた方は、ぜひこちらをご一読ください。



藤井風さんのこと、いろいろ書いてます。




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