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不幸から立ち上がる女子と男性教員から見えてきたこと

 50代/女性/教員在職20年強
 4人の子の産休・育休・育児時短勤務経験あり

 身近な人との人間関係
 職場で感じるジェンダー
 理想の教育ってなんだろう
 考えることあまた…
☕️

担任をしている女子生徒Aさんは
同じクラスの女子グループからはじかれ、
クラスでひとりぼっちになってしまった。
本当は学校に来るのが嫌で仕方がない。
けれど、負けないよう、
自分を奮い立たせて登校している。

去年も
学校に足が向かなくなったことがあったという。
男子生徒からひどい仕打ちを受けたらしい。
登校できても髪はボサボサ、制服はシワシワ
という日が続いていた、
と去年の担任から引き継いでいた。


外見はメンタルのバロメーターだ。
Aさんは、去年に比べたら
今はまだマシとみた。
髪を整え、かわいくして、ソトの世界に出ている。

でも、高校では
巻き髪もメイクも禁止で、“指導”の対象だ。

そこで担任(ワタシ)は、
学年のスタッフと生徒指導部に
「Aさんの身だしなみを指導せず、
ひとまず見守ってほしい」とお願いした。
だって、あんなにひどいことが起こっても
どん底から立ち上がろうとしているのが
痛々しいほどわかるじゃない?

朝起きて、メイクして、髪をゆるっと巻いて。
毎日学校に来るだけでもOKでは?

がんばって生きてる!!



ところが、
同じ学年の30代担任教員(男性)が反論した。

「他の生徒に、なぜあの子だけ指導されないのかと
聞かれたら自分には答えられない。
例外を認めるのはどうかと思う。」

ほう。

あなたが大失恋でもしてメンタルがボロボロの朝、
アイロンのきいていないスーツにボッサリ頭で出勤するなんて可能性はない、というわけか。
「おい、その服装と髪はなんだ?指導だ!」
と廊下で上司から大声で注意されたらどんな気がするか、
想像してみたらいい。

そして、驚いたことに
この男性教員だけでは終わらなかった。
50代後半の生徒指導部長(男性)は
廊下でAさんを見かけるや
後ろから追いかけ、首根っこを捕まえて
スカート丈の指導をしたという。

いまは指導せずに見守ってほしいとお願いしたのに!

例外なんか認めない、という
生徒指導部長の意志表示。

主任ともあろう人が
個々の生徒に寄り添わず機械的な対応しかしないのが
悲しい。



生徒の身だしなみ指導は、
「社会的通念、地域の目、学校のイメージ」と
「自由、人権」との狭間で過渡期にあると思う。
中でも、女子生徒に関しては
「清楚であるべき(あってほしい)」という
主に男性側からの勝手なバイアスが入り込んではいないだろうか?

高校生のうちは
メイクもピアスもせず純粋な存在としてあるべきで、
社会人になったら
女子は(今のところは主に女子は)
メイクをしてかわいく or きれいな存在であることを求められている。


本人の意思などそっちのけ!


Aさんには
「世の中こうゆうことになっているのよね」という
見方だけそっと伝えた。
本当はうまくやる術(すべ)を伝えるなんて
おかしなことなのにね。

Aさんはこれから
この理不尽な男性規範社会をどう生きていくのだろう。
たとえ踏みつけられ、不幸な思いをしても、
どうか立ち上がれますように。





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綾瀬 ゆき
支えたり、支えられたり。そんな “環境” が心地いいですね。