1ぴきのおもちとあほうどり
ぎゃっ、脂!!!
突然の大声ごめんあそばせ。こんにちは世の中、おもちです。
こっちの写真に写っているのはやきとんをしようと思って業務スーパーで嬉々として買ってきたら肉の部分がほとんどなかった豚バラ肉です。
正直真っ白すぎて怒るを通り越してウケた。
その日、おもちはちょっと寝坊して、スーパーに行く時間がやや遅かった。すでに人に溢れたスーパーを彷徨いながら必死にカゴに食品を詰めていたので上からしか見てなくて、脂身しかないのに気付かなかった。ちなみに400円くらいした。
「同居人くん、脂しかなかったから豚バラ串なしで」
「は!?!?!?クレームだ!」
おもちモンペはキレてた。この人いっつもおもちよりキレてる。
まあまあと宥めながらちょっと考える。捨ててしまうのも勿体無いしなぁ。
「ラードにしてコロッケでも揚げようか」
途端におめめがキラキラする同居人。よかったよかった。
結局ラップでぐるぐる巻きにして来る日が来るまで冷凍されることになった。
さて、ラードについて。別にわざわざコロッケにしなくても良いのにコロッケ作ろうと言ったのにはちょっと理由がある。
おもちは幼少期、「11ぴきのねことあほうどり」という作品がとにかく好きだった。11ぴきのねこシリーズ、今でも好き。
ねこたちがコロッケを作るシーンはワクワクしたし、あほうどりたちがコロッケを食べるシーンも読むたびに羨ましく思うのだった。絵本に出てくる食べ物はどうしてこんなに美味しそうなんだろうか。
だからおもち、コロッケ、とりわけお店のコロッケへの憧れがすごい。
実家のコロッケはそれはそれで美味しいし大好きだけど、ねこたちはコロッケを作って売っていたのでお店のコロッケがより一層近いような気がするのだ。
小学生の頃は近所にあった謎の惣菜屋さんに100円を握りしめて向かってはコロッケを買い、中学生の頃は近所のスーパーでパツパツに詰め込まれたコロッケを買っては家族と分け合い、高校生の頃は友達と買い食いし、大学生になるとやっぱり散歩がてらに歩いてはコロッケを買った。
絶対に買うってほどでもないが程よい距離でそこにいたのがコロッケだった。
憧れが高じてお店のコロッケのようにラードで揚げてみようかと思ったこともあったが、背脂が見つけられなくて諦めたのだった。自分で作るコロッケは美味しいけれど実家の味でもお店の味でもないような気がして、そこから家でコロッケを作るのはやめたのだった。
閑話休題。数日後、冷凍から再び解凍したラードをおもちは刻んでいた。ちなみに平日の仕事おわりである。馬鹿すぎる。
ラードの作り方は色々調べて、訳がわからなくなったので色々なところで共通してることを真似しながらやってみることにした。
細かく刻んだラードをフライパンへ入れ、さらに浸るくらいの水を入れてから火にかける。そう、あとはひたすら火にかけるのだ。
水分が蒸発すると鍋の中の音が変わって面白い。と同時にめちゃくちゃに跳ねてコンロがおわった。
副産物である油かすは後日かすうどんになった。とろろ昆布めちゃくちゃ美味しかった。
やや騒ぎになりながらもラードの作成が終わった。700g程度から小さい揚げ物鍋なら十分な量が取れた。が、おもちが使っている揚げ物鍋は以前住んでいた地獄プレイスに入居特典とかいうわけわからん名目で備え付けられていた揚げ物鍋。独身寮のくせに一人暮らしに使うにしてはやけにでかいのでちょっと油が足りなかった。仕方ないのでサラダ油と市販のチューブのラードを足してなんとかする。ここまでくるのに2時間近くかかった。
でもそれが終わればあとは単純だった。めんどくさいけど。
じゃがいもを水から茹で、同居人が潰している間に刻んだ玉ねぎ、肉を炒めて砂糖や醤油で味付けする。それらを混ぜ合わせてから小判型にして小麦粉、卵、パン粉の順に纏わせてから油で揚げる。二人でコロッケを作るのはなんだかあのねこたちと思い出して楽しかった。
コロッケができた。
ビールで喉を潤わせてから食べてみると手前味噌で大変恐縮だが、めちゃくちゃ美味しかった。サクサクだし、なんだかじんわりと甘い。ラードのおかげだろうか。お店の味とまでは言い過ぎかもしれないが以前のリベンジは果たせていたと思う。
同居人も満足そうに食べているし、おもちは一人勝手にあのねこたちの仲間になったような気がして、満足したのだった。
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