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世界が終わりを迎えても、私がすべきことは変わらない #13

橋本なずな｜書籍「10歳で私は穢された」発売中📖

起業家という道を経て、今は二作目の出版を目指して執筆活動に明け暮れる橋本なずなです。


大変な1月だった

1月が終わった。
「 大変な1月だった 」のは、きっと私だけではない。
今なお復旧活動が行われている能登半島地震にはじまり、JAL飛行機の衝突事故、最近では漫画原作者さんが自ら命を断つなど。

怒涛の勢いで悲劇が起こった2024年1月に、私は、唯一の家族であった母を亡くした。

一緒にするつもりはない。他の不幸に安易に理解を示すのも忍びない。
けれど、ただ、「 大変な1月だった 」ことだけは皆に共通していることではないだろうか。
不謹慎に思われるかもしれないけれど、大変な1月を過ごしたのが自分だけではないということに、私は少し救われていた。

ここ数日では、母の死亡を役所に届け出たり、身辺の整理を行っている。
これがまた、つらい。

母の生きてきた様を辿る作業は、それまでは見ないように、考えないようにしていた死という事実へ、真正面から向き合うことになる。

母の死とのにらめっこ。絶望との対峙。

ここのところ、私は上手く笑えない。

3年ぶりの精神科

母が亡くなって9日が経った今日、私は3年ぶりに精神科を訪れた。
ハタチの頃、うつ病とパニック障害、解離性障害と、希死念慮に悩まされていた。
当時お世話になっていた大阪市内にある精神科のことは、書籍『 10歳で私は穢された 』の中でも語っている。

母が亡くなったその日に予約を取って、診察の日までは何としても息をしていようと決めていた。
寝たきりでも良い。ご飯を食べ過ぎても良い。なんにもできなくても良い。母の死に目を背けていても良い。

ただ息をすることだけはやめないで。母の後を追おうなんて考えないで。

今日まであらゆる術で心を継ぎ接ぎながら生きていた。

ご無沙汰の精神科医の先生に、懐かしい診察室。

一先ず、ここまでよく頑張った。心に蓋をしていて偉かった。
さぁ、いいよ。吐き出そう。向き合おう。悲しいって泣き叫んでいいよ。

そう心に語り掛けても、心はまだ蓋を外そうとはしなかった。

生存方法

母が亡くなってからの9日間、最も苦しかったのは「 見て見ぬふり 」をすることだった。

見て見ぬふりができないのは昔から。
中学で教師の職務怠慢を訴えたり、高校でも一人でぽつんと過ごしている子が居たら声を掛けずにはいられなかった。

だから今回も、母の死を見て見ぬふりをして過ごすのは苦しかった。
けれど、真正面から向き合えば、私の命ごと燃えて無くなってしまうような気がした。

それならば、何かに怒っているほうが気が紛れて楽だった。

ここのところ、親族へのヘイトを並べたnoteが多いのはそのせいだ。自覚があって書いていた。
親族への言葉に過不足はないが、ここぞとばかりに怒りを露わにしていた。

この9日間の生存方法は「 見て見ぬふり 」と「 怒り 」のほかに、「 過食 」と「 性的欲求 」があった。
自分を許す為に、次回はその話をしよう。

2月になって

端から私は決めていた。1月10日、今年最初の文学賞作品の〆切を終えた日から「 1月中は休むんだ 」と。
休む、どころか心身ともに追い込まれる1月中旬～下旬となったけれど、時は容赦なく過ぎて行く。

2月になって、私は今日から再び歩き出す。次の文学賞作品に手をつける。

テーマは『 十人十色 』
文芸社と毎日新聞社が共催の5月末〆切の文学賞。
受賞の発表は8月、授賞式は秋頃に毎日新聞・東京本社で行われるそうだ。

1月に投稿を終えた作品もだけれど、特に今回は、既に受賞する心づもりでいる。
生前、母にも話していて「 授賞式にはお母さんも連れて行く！ 」って約束したんだから。

母が亡くなっても、私は書く手を止めはしない。
母が亡くなってしまったからこそ、私にはやるべきことがたくさんある。

起業、発信、出版 ———
これまでの選択の一つ一つが今の私を作っている。私は間違っていない。

母が亡くなっても、私がすべきことは変わらない。
自分の “好き” と “正しい” を貫いて、言葉という術で表現するだけだ。

書いて、書いて、書きまくる。言葉を紡ぎ、物語を作り続ける。

その先に何があるか、私はもう知っている。


能登半島地震に被災された皆様へ

被災地の皆様、心からのお見舞いを申し上げます。
一人でも多くの命が助かることを、そして、一日でも早く日常が戻ることを祈り続けています。


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