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Think only tree. 本番で緊張するすべての人へ。巨大なプレッシャーの跳ね返し方

パイロットの宿命、シミュレータ、あるいはシム。今日は3日間続いたシムの最終日だった。

今回のシムは、育休で長期離脱していた私のために組まれた特別カリキュラムで、いわば前哨戦だ。本番は来週の Operational Competency Assessment(OCA)で、1回4時間。それを2日間、合計8時間近く箱の中に閉じ込められて後ろからじーっと観察される。Assessmentというからには試験であり、これに合格して初めて実際の飛行機に乗務することを許される。一定の成績を取らないと、落第してしまう。

4時間もの間、緊急事態に対処し続ける集中力と、悪い成績を取ったら職を失うプレッシャーに打ち勝つ精神力が試される。そして、現役でいる限りそれが半年に1回やってくる。それはそれは巨大なプレッシャーだ。これが、世界中のパイロット共通の現実である。

「自分史上最高」にフォーカスする

今日のデブリ(デブリーフィング:レッスン後の講評)で「3日間やっと終わったけどまたすぐ来週にOCAあるんだよね」と私がこぼすと、よほど嫌そうな顔をしていたのだろう、教官が、こう言った。

なんだ、Ashはシムで緊張するのかい?

そりゃ職を失うかもしれない機会が半年に一回まわってくるんだから緊張するし、憂鬱だよ、と正直に答えると、

シムに入って、着席したら、こう考えるといい。これから自分史上最高のシングルエンジンサーキットをやってやる、と。

教官は続ける。

みんなシムでは "Bad day" を経験をしているものだよ。私も昔そうだったけど、チェックされるって考えてほかの人の目を気にすると、ととたんにパフォーマンスが落ちるんだよ。そうじゃなくて、これから自分史上最高のパフォーマンスを出すぞ、って考えて、そのことにフォーカスするんだ。

隣で私と一緒にシムを受けたキャプテンも、大きくうなづいて同意した。彼女は、ここのシムインストラクターでもある。曰く、「私も昔はシムの後に泣いていたのよ」などという。

シムや試験官に勝とうとするんじゃない、今、ここで、過去の自分のパフォーマンスを超えることだけを考えるんだ。なぜなら、君のパフォーマンスは基準をはるかに超えたところにあるんだから、自分史上最高を少しずつ更新していけば、試験に落ちる心配はなくなるだろう。

いやー、ライントレーニングのときもそうだったけれど、この人は毎回的確というか、私に足りないものをピンポイントで、しかも自信を失わせないように伝えてくる。誰にでもできることじゃない。本当に素晴らしいインストラクターだ。

それにしても、自分が教官だった時は学生に似たようなことを言っていたような気がするけれど、いざ自分事になると見えなくなっていた。

確かに、シムの座席に座ると毎回、慣れ親しんだいつものダッシュ8のコクピットがいやによそよそしく、覆いかぶさってくるように感じていた。要は「シムに吞まれて」いた。

上の教官の言を聞いて、これからは意識して「よっしゃぶっ飛ばすぜ!!(違う)」と考えるようにしようと思った次第です。

おまけ "Think only tree"

人の目ではなく、自分の内面にフォーカスして、自分史上最高のパフォーマンスを出す。そういえば、先日師匠に教えてもらったMiyagiさんもそんなこと言っていたな。

If it came from inside you, it's always the right one.
Just trust, and think only tree!


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AUS在住空飛ぶとーちゃん Ash
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