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1960 ゲインブロック…オリジナル ディスクリート オペアンプ


今回は キャラメル タイプとも言われた ディスクリート オペアンプについて…プロオーディオ機器のAPI コンソールに使われていた2520  Jensen990  国内では光音やCR BOXでも過去に作っていました…

当工房のゲインロックは機材のサウンドを決める核(心臓部)だと考えています 勿論 パーツ 回路構成 や線材等 総合して全体的に 試聴を繰り返しながら調整し 仕上げることも大切です

ゲインブロックは
ごく簡単に言えば「信号を増幅するもの」ですが構成しているパーツを変えることで音のキャラクターが「自 然に」付いていく     EQとの決定的な違いはここにある この29mm 四方の小さな箱はあくまでも「自然に」力を発揮する

メーカー立ち上げから現在まで凡そ1,200個のゲインブロックを製作し オリジナル機材に使用して来た(自作や改造用に単体で購入された方も含んでいます

ご存知だとは思いますがディスクリートとは トランジスタ 抵 抗 ダイオード コンデンサといった個々のパーツで組み ICは使用していないということ

このゲインブロックを真空管のように差し替えることでマイクプリやライ ンアンプのサウンドキャラクターを変えたらどうかと考えた訳です

当初 ゲインブロックの製作にあたっては 当工房のマイクプリやコンプ  ラインアンプといったレコーディング機器のために製作しましたので 自らの録音スタイルを基準にしています 私は音録りの時フィルターを使わないし EQやコンプも なるべく使わない  マイク の選定とマイクアレンジのみで行うことを好んで来た(予算=時間が無いときや 積極的に音作りの必要がある時は その限りでは ありません)   唯一といってよいほど頼りにしている卓のHAやマイクプリも マイク入力を受けてその信号を増幅するだけのシン プルな機材である(是非多くの若手には、この基本的な手法で音を録ることを経験して欲しい。。)

つまり ゲインブロックにバリエーションを持たせたのは 録音時を想定していたから なのです
利用範囲が拡大し
ラインアンプでのオーディオ再生や自作DAC  CDPの出力部にと色々使われてきました
(8ピンDIPへの変換基板もありますが スペースは必要)

◆Mj 無線と実験2003,12月号、窪田登司氏のラインコントロールアンプ製作記事で使われています…製作記事に使われたゲインブロックは API卓ジェンセンOPTドライブ用に作った1968タイプで 現行の1960も何タイプか送ったのですが、窪田氏は 1968を 使われた。
(私=音響工房アナログ式のラインアンプは 回路構成が 全く異なります )

■1960-H ゲインブロック…
10年振りにニュータイプを出すことにした…と言ってもパーツとの出合いがないと回路や定数変更だけでは生まれないからである
Hタイプは唯一の英国系(ヨーロッパ サウンド)のサウンドになる 低域から中低域は充実し 艶のある中域から中高域 繊細な高域 全帯域で少し重めで翳りのあるサウンドはカラっと湿り気のない 明るく立上り良く 音が前に出て来るアメリカン サウンド系とは趣を異にしている
以下 レビュー…(私はリファレンスとして最初に製作したAタイプを 試聴用の極力色付を廃したラインアンプ+リファレンス用ヘッドフォン。レビューは アナログ式のラインアンプ等を お使いの方で 御自分のオーディオシステムによる Cタイプ基準での試聴になります)
     「大人な感じですね。いままでのゲインブロックが陽とすれば陰といった感じです。
ソリッドな中に艶があり、繊細で重心の低いボーカル、ちょっと湿った感じで声の質感が良くわかります。
この後に聴いた他のゲインブロックとは明らかに方向性が違い、渋いですね」

D及びPタイプはパーツ入手不可のため先日廃番にしたばかりだが ついにBタイプも廃番となる…(後継のR2は あります)まあ こればっかりは仕方の無いこと 代わりにHタイプが生まれたので これで現在のラインナップは 特注仕様の1960-Limを含め 6タイプ
最初に開発したゲインブロックで他のタイプを製作する時のリファレンスでもあった 1960- A
◯1960-A→スッキリしたFETコンデンサマイクの様な やや硬質で張りのあるサウンド

◯Bタイプ→パーツ入手不可のため廃番

製品のスタンダード仕様のゲインブロックでもある
Cタイプ→ウォームで明るくクリアなサウンド
レビュー…「Cですが、ソリッドでタイト、直接音が多くて艶は控え目(充分艶やかですが)、そのかわり実体感があって太いです」

◯Fタイプ→私的に1番好みのタイプで 非常に音楽的なサウンド
粘りのある低域&中低域 生々しく存在感があり 全体的にしっかり音が前に出て来る AMPEXサウンドを彷彿させる
レビュー…「Fですが、程よいレンジ感でしなやか、全体が生き生きとし、音が前に来ますね。
伸び伸びとした声で、歌い手が上手になったように聴こえます。
聴いていて気持ちの良い音です」

○R2タイプ→管球式の(WEやAMPEX)と共通したサウンドを持っています…ソリッドステートなのに 3極管の様な(透明感や柔らかさ 奥行き感に於いて)サウンドをと 作ったタイプ
以下 Rタイプのレビューです
「明らかにレンジが広く滑らかで、一音一音が良く伸びます。
何となく真空管のテイストも感じさせ、艶やかなギターが気持ちいいです。
繊細さも一番あるかもしれません。
好みはあると思いますが、ある意味このゲインブロックの音が、一番高級感があると思われる方が多いかもしれませんね。
ハイエンド感といったら良いでしょうか」

1960-LIM は特注仕様オペアンプ ご希望のサウンドを得る為 全てのパーツを選定し これ以上ないほどのグレードアップを図り 価格もさることながら 試聴を繰り返し パーツを変更しながら製作しています
■このゲインブロックは24mm四方の基板上に多数のパーツのリードを直結して組んである 6タイプそれぞれのキャラクターを決定付けているのは 第一にパーツである さらに1960全体に共通するキャラクター(音のピュアさ 存在感)を決めるのはディスクリート回路 パーツ直結方式 それと忘れ てならないのが「ハンダ」である ゲインブロックを製品化するにあたり ハンダを変えて試作を繰り返した… 20年間使っている某メーカーは その中でも特に音が気に入ったものである(色付が殆ど無い)

■結局のところ理論とは別の「手仕事」の部分もサウンドを決める重要なポイントとなってくる もちろん一番大切なのは「耳」飽きずに製品を作れるのは このアナログ感覚があるからだと思っています。

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