秋風に 揺られて ぽとり。。
こんばんは。noteさん。
からからだった世界に、水の音が響いて、安らぎが深くしみわたります。
声を上げて走る風は、ときどき窓にぶつかりながら通り過ぎていきました。
雨音で目覚めた、冷たい朝。
昨日までの、軽い空気は、どこにもなくて。
ぼんやりと過ごした午後に、
少しの間の、静かな庭を、
濡らした傘と、歩いてみました。
ぬかるんだ、足あとの、行き止まりで、
あざやかな、でこぼこの、実が、
間違えたみたいに、転がっていました。
まだ少し、寒いくらいの、
夏の初めの、思いつきで。
おいしくいただいた、あとの、
パプリカの、真ん中あたりを、
暖かくして、埋めてみたんです。
やっぱり、だめ、なのかな。。って、
諦めかけたころに、やっと出逢えた、
折れそうなほどの、小さなふた葉。
何度目かの、引っ越しをしながら、
菜園の端っこで、暑さを越えて、
かわいい花実をつけてくれました。
中くらいの、ぷっくりしたカタチになって、
数日前から、収穫できそう、だったのに、
その瞬間を、明日の次へと、先に延ばして、
移りゆく色を、待っていた、のだけれど。
五か月ぶんの、いちばんの、お楽しみは、
秋の嵐に、連れて去られてしまった、のでした。
それでも、この手でやっと、触れられた、
泥まみれの、鮮やかな、ヤマブキ色を、
うれしい気持ち、で洗い流したら。
せっかくの、穫りたてを、
愛でながら、そのまんま。
まあるくかじって、
ひとまわり。
なんとなく緑の、似ている香りがして、
ちょっと酸っぱい、あまい水が弾けたら、
いたずらな、想い出が、よみがえりました。
じんわりと、味わった、そのあとには、
新しい、いのちのもとの、かたまりが、
あの日のように、また、並んでいて。
孫の顔が見たいな、、なんて、
どこかで聞いたような、古いことばが、
ゆるんだ頬に、浮かんできました。
不格好で、美しくはない、けれど。
世界にひとつ、だけの、奇跡に、
最大級の、愛しさを、
今いっぱいに、噛みしめています。
見守っていてくれていた、はずの、
あたたかな、まなざしを、
遠くに想って、馳せながら。
追伸。
揺られても、嵐を越えてくれそうな、
となりの、小さい、五つ子たちの、
明日の、色が、楽しみです。