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紡いだことばたち。
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#ART

詩 21、または、友に贈る、この先苦しくなった時のための詩

思いに沈む横顔はいつも
漆黒の宇宙だった

世界が、こんなにも美しく潤んでいるのに

その頰を伝う滴を
いつか
両手で掬い取って
残らず飲み干せたらと
願うばかり

目を凝らして
世界は思っているよりもずっと優しい
深い森の眼をして
微笑みを口にたたえている

そうっと踏み出したその足は
左右を交互に出せば
前に進む仕組みなのだ







そうして、道ができる

誰にも消すことのでき

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詩 20

孤独が
どっしりと腰を据えて
私を眺めていた

白濁した片方の眼を
時々擦りながら

真夜中のキッチンは
私に他人の顔をする
昼間は私がここを治めていたはずなのに

孤独が
ゆっくりと息を吐く

しん、としたキッチンの床は冷たく

ぶうぉん、という冷蔵庫の
怠惰な音だけに

私は今、救われている
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