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娘とふたりで朝風呂に行った話。
私たち夫婦には、4歳の娘がいる。
彼女は、私たちの第一子で、今年の9月に弟が産まれて、お姉ちゃんとなった。
息子が産まれてからは、どうにもこうにもお世話をしなくてはならないので、娘はちょっとちゃんと赤ちゃん返りした。とにかく「ママがいい!」モード。歯磨きやお風呂も「ママ(と)がいい!」し、少しの食材の買い物にもついてくる。可愛らしい。だけど大変だ。息子に気を取られているときには、雑に対応してしまう。
娘は、車で5分ほどの保育園に通っている。
16時半までに息子と一緒に娘を迎えに行く。最近は娘から「違う道で帰って!」と要望があって、少しだけ、ほんの車で3分くらい遠回りして帰っている。この季節なので、真っ暗のなかでのドライブ。息子は大抵車に乗ると寝てしまうから、娘とふたりで保育園で○○して遊んだ~とか、○○ちゃんが~とかお喋りする時間になる。
この前の金曜日は、娘がだんだんと喋らなくなって静かになっていくなぁと思ったら、寝てしまっていた。保育園での昼寝は、今年の夏でなくなったので、金曜日はもうヘトヘトなのだと思う。
そのまま家に着いて、まず息子を家の中に運んで安全に寝かせて、慌てて車に戻って、娘を抱っこして運んだ。2ヶ月の息子を抱っこした後なのもあって、娘を抱っこすると大きくなったなぁと感慨深い。が、重くて仕方ない。
娘はそのままソファで寝て、起きたのは19時半頃。夜ご飯を食べて歯磨きして、翌日は休みだから、お風呂はやめておいた。風呂キャンだ。そんな日があっても良い。
翌日の土曜日、家族みんな平日よりもちょっと遅く起きて、朝ご飯を食べた。
すると、夫が「(娘と)ふたりで風呂でも行って来たら?」と。
私が前日の夜に冗談交じりで「明日、(娘と)ふたりでお風呂でも行っちゃおうかなぁ~♪」と言っていたのを覚えていてくれたらしい。そんなことができたら良いなぁとは思っていたが、夢のことだと思っていた。いつかの先の話だと思っていた。
息子の授乳は3時間後。銭湯に行って帰ってくるには充分だ!
娘も銭湯が大好きで、「大きいお風呂入る!」と完全に乗り気だった。
ドタバタ準備して、朝8時半、急遽、娘とふたりで銭湯に出かけることになった!
私は、車を運転している間も、テンションが上がっていた。
この日は、雪が屋根にうっすらと積もるくらい、冷え込んだ日。朝風呂に持ってこいだ。
銭湯に着いて、ふたりで身体を洗って、まずは内湯に入る。
あ~~~幸せだ!!!
続けて、露天風呂に入る。
もみじの木が植えてあり真っ赤に色付いていた。良い感じにその葉っぱが風呂にも浮かんでいて、美しかった。
あ~~~幸せだ!!!!!
多分、あのときの朝風呂に居た誰よりも、幸せを噛みしめていたと思う。
銭湯に行くことなんて、独身のときや子供が産まれる前は、行きたいと思えばすぐに行けた。気軽で身軽で、自由だった。こんなに幸せを感じることではなかった。
子供が産まれてから、当然なのかもしれないが、自分の行動に制限がかかるというか、自由の身ではなくなった。私が出かけるとしたら、子供はどうするか、夫に相談して、今となっては息子の授乳もあるから、、、と、考えるのさえ面倒に感じて、心の赴くままに出かけるなんてことは、なかなかできなくなった。
娘も、弟が産まれてから、きっと何かが変わった。自分だけのママ、パパではなくなった。自分だけに向けられていた眼差しが、弟、しかも小さくて守らなくてはならない赤ちゃんに、より多く向けられるようになった。
そんなふたりの朝風呂だった。とてもご機嫌な母につられて、娘もご機嫌だった。ふたりきりでお出かけするなんて久しぶりだったよね。母ちゃん、とっても嬉しかったよ。
時間にしたら、3時間弱。それでも、とても良い時間だった。
夫も息子とたわむれながら、ネトフリを満喫できたらしい。
こころよく送り出してくれた夫にも感謝だし、銭湯に付き合ってくれた?娘にも感謝である。息子もパパを困らせないでいてくれてありがとう。
この日は他に出かけるでもなく、銭湯で温まって眠くなって、午後にはみんなで昼寝して、だらだらと過ごして終わった。
本当にただただ休日に娘とふたりで朝風呂に行っただけの話だったけれど、今日、思い返しても、心がほっこりしてしまう。
ちょっとの自由のなかでの、ささやかな幸せ。
娘とふたりきりで過ごした時間。
おぉ。今の人生も悪くないなぁと思えたのでした。