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『センスは知識からはじまる』感想

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「くまもん」のデザイナーさんが「センスとは何か?」「売れるデザインは何か?」とセンスをマーケティングの観点から解説した一冊です。

まず面白いなと思ったのがセンスの定義です。この本によると

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。これが僕のセンスについての定義です。

と書いてあります。ここでいう「最適化する」というのは「知識をもとに未来をよい精度で予測すること」だと本書を通して私は解釈しています。

「よい精度で未来を予測する」というのは具体的に以下のようなプロセスを指します。「もし、チョコレートの商品開発担当者になったのなら?」という章からの引用です。

あなたは突然チョコレートの新商品の開発担当者に任命され、パッケージデザインの決定を任されたとします。次のステップを踏めば、センスある仕事をしていくことができます。
①まずは王道のチョコレートにかんする知識を紐解いてみる。ひとつは、ベルギーやフランスなどの高級チョコの味と雰囲気。もうひとつは、昔から長く愛され続けているロングセラーの味と雰囲気。
②次に、流行りのチョコレートを知る。最近発売された、競合他社の人気商品を調べる。最近話題の、ヨーロッパのショコラティエの挑戦的なショコラを入手する。それらを観察し、味わい、パッケージにどのような特徴があるのかをつぶさに知る。
③いろいろなチョコレートを知った上で、「そこ共通項はないだろうか?」と考える。そこからまず、疑問を見つけ、「チョコレートのパッケージってたいてい茶色か赤。なぜだろう?」と考える。「暖色系と相性がいいのは、チョコレートにはあったかいイメージがあるからだろうか?」「とろけるチョコレートというイメージが喚起され、おいしそうと感じるからだろうか?」
④次に、疑問から仮説を導き出す。「パッケージは暖色系、できれば茶色や赤やオレンジがいいのかな」
⑤最後に仮説を検証し、結論に結び付ける。「でも、それじゃありがちだ。茶色の補色にあたる青も合わせて使ってみるのはどうだろう。今回の製品はベルギーチョコレートのイメージだから、ベルギーで辺りで生まれた書体を選んでみよう」

調査、仮説、検証はまさに実験と同じプロセスですね。特徴を抽出して、一般化し、最後に特化させるというプロセスも馴染みがあります。著者はおそらく、調査から仮説を導く過程は、知識に基づく観察であるため、センスは知識からうまれると表現したのでしょう。

上記のようにセンスあるデザインの考え方が論理的に順序だって書かれています。専門的な用語は使われていないので、デザイン面白そうだけどまったくのド素人という人でもすらすら読めます。おすすめです。

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