小泉今日子2

『小泉今日子 書評集』感想


2005~2014年に読売新聞の書評欄で掲載された、小泉今日子さんの書評をまとめたもの。97冊分が掲載されている。

私は小泉今日子さんを、とてもチャーミングで素敵な女性だと思っている。特に年齢を重ねることに対してポジティブな考えを持っているところが素敵だと思っている。そんな憧れの女性は何を読んでいるのか?と気になって、ドキドキしながら読んだ。

主に小説を取り上げている。意外だったのは、小説の内容を通して、ご自身の不安や迷いを綴ったものもが多々あったところだ。

四十歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供をもつことだ。時間に限りがあることだから、ある年齢を過ぎた女性なら一度は真剣に考えたことがあると思う。家族の再生を描いた心優しいこの物語を読んで、私はそんな思いから少しだけ開放された。
アカの他人同士がたった紙切れ一枚で夫婦になる。そしてまた紙切れ一枚で離婚する。とても簡単なことである。でも、それだけでは長い月日を共に生きられない。夫婦っていったいなんなのだろう?それが分かっていたら私も二枚の紙切れに判子を押すことはなかったのだろう。

誰もが羨むルックスに恵まれて、自分の稼ぎで十分に口を養える彼女でも結婚や出産で悩むのか…と妙な親近感を覚えた。けれども、彼女は女性であることや年を重ねることに対しては、やはりポジティブであった。

誰だって、昔は女の子だった。おばさんだって、お婆ちゃんだって。女の子という骨組みに贅肉のようなものを少しずつ纏って女になって行くのだ。若い頃は、それも楽しい。お洒落をしたり、恋愛をしたり。でも、ある年齢を過ぎると、贅肉みたいな女度を憎らしく感じ、骨組みの女の子度がたまらなく愛おしくなる。

共感するには私は若すぎるけれど、人生の先輩に励まされたような気がしてとても元気になった。女性にぜひ読んでもらいたい1冊

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