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発達障害の方々へ、生真面目だけでは生きていけない ~ 「非真面目」のススメ

【この記事は、約5分で読めます】

「あのなあ...仕事というのは、生真面目だけでは生きていけない、かと言って不真面目では話にならない。非真面目、ゆるくマジメくらいが丁度いいんだ。」

以前、ある発達障害のイベントで関わりのあったある支援者さんが、こんなことを言っていました。
ご本人が社会人駆け出しの頃、先輩からいただいたアドバイスだったそうです。

この言葉、実は僕自身にも当てはまり、今でも自戒しているところです。
僕は生真面目に走る傾向にあります。
そういう時は、たいてい自分を認めて欲しいと、承認欲求に走り判断を誤っています。
それでも、今までこの言葉で一歩立ち止まり、独りよがりを回避できたことがありました。

非真面目という考え方を持つことで、自分自身を苦しめず、優しくする。
それが人にも堅苦しい・とっつきにくい印象を持たれることなく、ゆとりのある人として評価されるきっかけになれるのなら。

今回は ①生真面目では生きていけない理由 ②非真面目を受け入れるためのヒント を、解説いたします。


①生真面目だけでは生きていけない理由

1.自分の考えに固執しやすく、視野が狭くなる

発達障害当事者の中には、生真面目であることが正義であると考える方がおられます。
僕も、コンディションが低い時はそう信じ込む傾向にあります。
理由は、真面目であることが相手から評価され、承認欲求が満たされる数少ない成功体験であることを無意識で学習してしまっているからです。

学校であれば、十分に通用するでしょう。
なぜなら、学校は校則を守り、優秀な成績を残せば評価が得られるからです。
根回しや利害関係の調整といった人間関係の煩わしさも、必要ありません。
しかし、職場や家庭にも学校と同じ考え方を持ち込んでしまうと、歪みが生じます。

確かに一つの物事に集中して取り組むことは、諦めない前向きな人と評価されるでしょう。
一方、一つのことしか夢中になれず、他のことに目がいかなくなることで周囲の意見が聞けず、自分の考えに固執する傾向にあります。
結果、物事を多面的に見る視野が狭くなり、何かを判断する時に自分が経験してきたことが「正」と思い込み、人の意見が受け入れられない。
そしてまた自分の考えに固執する…という悪循環に陥ります。

僕は、仕事や家庭でマルチタスクや臨機応変な対応が必要な時は、職場の上司や家内から一つのことだけ「指示」するよう伝え、それに従うように努めています。
従うと言ったら消極的かもしれませんが、判断を誤り相手に迷惑を被ることになるよりかは遥かにリスク回避につながります(それでもできてない方が多いですが)。

生真面目なことが正しいと考えているうちは、相手からしたら「融通が利かず、頼みづらい。話してて楽しくない」という評価をされていると戒めた方が賢明でしょう。
はい、実は僕自身に言い聞かせていますが(笑)


2.近づきがたい人物というレッテルが貼られやすい

自分の言動が「正」と考えているが故、相手への受け答えにもゆとりがなくなってきます。
伝え方も紋切り型になり、誠意がないという印象を持たれる場合もあります。
相手も関わってこないから、必要以上の会話も自分はしないと決めつけ、自分の世界に没頭してしまいます。
結果、「あの人には近づきたくない」というレッテルが貼られやすくなります。
相手からしたら、あなたを頼ったり誘う機会もなくなる、あなたが周りから村八分にされるデメリットが生じます。

僕の場合、特にテレワークの時は気を付けています。
元々話しかけることが苦手だし、語彙力も豊富ではない(と言い聞かせています)ため、言葉選びは尚慎重にしています。
面と向かって話もできないし、その分誠意が見えないからです。
そのため、相手と擦り合わせしたり、相談事は可能なら出社時に回しています(会社も理解はしています)。
その代わり、プログラムの作成や資料作成・ルーティンが確立された定例業務など自分で完結できる仕事をテレワークではメインに従事しています。
顔が見えない分、自分が何しているか相手には見えないですしね。


②非真面目を受け入れるには?

1.可能性は一つだけじゃない、と考える

会話は、学校のテストのように正解は一つではありません。
むしろ、正解はないと言った方が良いでしょうか?
そう聞くと、「答えがなかったら動けない、見通しがつかない」と不安がる方もいるでしょう。
けれども、定型が望んでいることは「正解探し」よりも「共感」なんですよね(これ、重要だけど難しい!)。
当事者さんには理解しがたいですが、定型は無意識にこれをやっています。

知らず知らずに、こんなことしてませんか?
僕はコンディションが悪い時、8つ全部該当しています。

1.ゼロ100思考:完璧にできないなら、やっても無駄だ。
2.フィルタリング:物事の悪い面ばかり見て、良い面を見ようとしない。
3.ラベリング:ほんの少しの出来事から自分や他人にレッテルを張る。
4.べき思考:自分や相手がそれをできなかったときにイライラしたり失望する。
5.拡大解釈過小評価:自分の感じたことだけで、物事を判断する。
6.結論の飛躍:悪い部分のみに着目し、途中の過程で良かった部分を無視する。
7.一般化:自分の経験のみで感じた感情を、他の出来事に当てはめようとする。
8.自己関連づけ:客観的な意見を受け入れず、自分の都合の良いように感情をチューニングする。

どの考え方も誰もが持っていることですが、この考え方を「自動思考」にしてしまうのが問題なのです。
故に、自分で気づくことで気分が修正する可能性があります。
ただし、考え方のクセの選択を正しく厳密にする必要はございません。
考え方のクセに気が付いて、自分なりの理由ができれば良いのです。

物事に対して、一つの答えしかないと考えていませんか?
「真実はいつも一つ!」とコナン君は豪語していますが、それは時に自分の考えを狭めてしまうのです。
それよりも「答えは何通りもある」と切り替えた方が、良いでしょう。


2.3つのキャラクターが、あなたの意固地さを改善する

可能性は一つだけじゃない、と考える時に助けとなる概念があります。

ここに、3人のキャラクターがいます。
メンバーは他罰的なビル・自責的なメアリー・お気楽エディ。

他罰的なビルは、自分の思い通りにならないとすぐにかんしゃくを起こし、他人を責め立てます。
自責的なメアリーは、悪い結果になったのは自分のせいだといつも自分を責め立てます。
お気楽エディは、「まあまあいいじゃないか」と起こったことは受け止めるタイプです。

この3人について、誰が正解で誰が間違いということはありません。
あくまで、「そういう考え方もある」という視点で、人には人それぞれの捉え方を持っていると意識します。

具体例に当てはめましょう。

明日は晴れ、絶好のお出かけ日和。
海にでも行って海水浴をしよう!と家族親戚は意気高揚していました。
しかし、当日はまさかの暴風雨。
楽しみにしていた海水浴は中止、代わりにショッピングモールに行かないかと妻(お母さん)は提案します。
子供は「イヤイヤ!海行きたい!」と駄々をこねます。
その時、あなたはどう感じますか?

他罰的なビルなら「うるさい!雨なんだから仕方ないだろ!」と子供に怒るかもしれません。
自責的なメアリーなら、「子供の気持ちが不安定なのは、いつも自分が子供に向き合ってこなかったからだ」と自分を責めるかもしれません。
お気楽エディなら、「雨が降ったからショッピングセンターに行けたじゃないか。あの雑貨屋でコーヒー試飲できるしな♪」と事実を受け止めるかもしれません。

ここで重要なのは、どの反応に正解はなく、この中の3つの答え方をする人がいるかもしれないと考えることです。
そう考えることにより、自分の意見に固執することが減ってきます。
他罰的なビルはマイナスですが、お気楽エディなら前向きになれるかもしれません。
繰り返しになりますが、可能性は一つではないと考えることで自分自身を楽にできるのです。


おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上、①生真面目では生きていけない理由 ②非真面目を受け入れるためのヒント を説明しました。

当たり前の話ですが、会社では仕事をすることで給料という対価を得ます。
会社にはそれぞれの役割があり、それぞれが仕事を完遂するために責任を持って働いています。
不真面目では話にならず、信用を落としてしまいます。
けれども、生真面目だけでは自分の殻に閉じこもる可能性があり、結果これも信用を落とす可能性もあります。

必ずしも「非真面目」になることはございません。
もちろん求められたことに「マジメ」に取り組むのは言うまでもないですが、「これができなくても相手は許すかもしれないが、自分は許せない」と固執する必要はないのです。
働く上で、家庭生活で、友達関係で。
3つのマジメがあり、「非真面目」に生きることで相手も自分も気持ちよく過ごすこともあると、考えてみてはいかがでしょうか?


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坂巻菱生
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