秘密主義の無言実行
昔から、自分が今なにをしているか、これからなにをしようとしているか、できれば人様に知られたくないタイプだ。
とはいえ、コソコソしていないでオープンにしたほうが人からも協力してもらいやすいといったメリットが多いとわかっている。でも気が進まない。わたしにとってはデメリットも大きい。
なぜなら、語弊を恐れずにいえば、自分が協力してほしいと思う人に協力してもらえればよいのであって、そうでない人から声をかけてもらってもノイズになりかねないから。
よかれと思っていろいろアドバイスしてもらっても、自分のなかに明確なビジョンがあれば無視する形になってしまうし、かといって「けっこうです」と突っぱねる勇気もない。断るのが苦手だから、断らなくてすむように予防戦を張っている。…困っているとしたら、もう別の適切だと思う誰かにSOSを出しているはずだ。
それと、宣言してよかったと思えた経験が乏しい。
会社員のころだったか、目標面談なるものが定期的にあった。目標シートに自分で目標を書き込み、それをもとに上司や先輩とおこなう面談だ。
まず立てた目標を否定されるところから始まる。「目標が低すぎる。これでは困る」と。そういわれても、わたしも困る。
自分の力量をふまえて現実的な目標を立てたまでだ。実力からとんでもなくかけ離れた目標を設定するよりも実現できる可能性は高いはずなのに、なぜ詰められなければならないのか。だったらはじめから目標なんて宣言させないでほしい。「適切な目標」とやらを最初から与えてください。
…こんなふうに、自分の目標や取り組みを宣言したところでろくなことがありゃしない。もうそんな組織には身を置いていないけれども、周囲の好き勝手な感想でいちいち一喜一憂したくない。だからわたしにとっては知られないことがけっこう重要だ。
したがって「有言実行」ともわりと縁遠いところにいる。孫子の兵法(の解説書)にも書かれているとおり、わたしは逃げ道がないとうまくいかないタイプだ。「言ったからにはやらねば」と背負い込んでしまって逆にもろくなる。
誰にもいわなければちょっと手を抜こうがサボろうが自分のさじ加減だし、自分で自分を責めるだけ。もっともらしい言い訳を考える必要もない。
「有言実行」は必要な覚悟が大きすぎる。3歩進んで4歩下がって2歩進むような形で黙ってこそこそ行動するほうが、肩の力も抜けて柔軟でいられる。やめたくなったら誰にも報告せずフェードアウトできる。そもそも始めることも誰も知らないのだから、やめるのも勝手だ。
そういうわけで、周囲に宣言して後に引けなくするスタイルはわたしには合っていない。ずいぶんと前からうすうす気づいていたが、やっぱり合っていない。
有言実行 / 無言実行、仲間とわいわい / ひとりでひっそり、なにが合うのかは人それぞれ。気楽にいこう。
今日も読んでくれてありがとうございます。
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