直感を研ぎ澄ませていく

5月の実家生活で3kg増えた体重は、ものの2週間でもとに戻ってしまった。ほとんど水分だったんだろうな。
世の中痩せたい女性が圧倒的に多いなか、わたしは(筋肉で)体を大きくしたいのだ。

…自分の気になるところを挙げはじめたら、キリがない。
もやしのような線の細さも、シミが増えつつある顔も、正直者がバカをみる要領の悪さも、人の顔色をうかがうことがお風呂のカビのごとく頑固にしみついた気の弱さも…。

わたしは昔から争いごとやケンカが苦手だった。
誰かが先生や上司から怒られているのをみるのも、胃がぎゅっとする。
大声を出す必要も、罵り傷つけるような言い方をする必要も、いったいどこにあるのだろうか。

だから、いつからか「みんな(あなた)がよければ、それでいい」と、判断を人に合わせるようになった。

わたしのコミュニケーションはつねにレシーブ側で、どんなに強烈なサーブが飛んできても、ボールが顔面に当たっても、足を強烈にぐねっても「だ、だいじょぶだから」と、痛いのをやせ我慢するクセがある。

漫画やアニメの世界の主人公は、ある一定ボロボロになったところで覚醒し、スーパーサイヤ人になったり武器が光りはじめたりする。
しかし生身の人間にそんなことは起こらない。

折れた骨に絆創膏を貼ったところで治らないし、治るまで動かしてはいけない。そしてリハビリはつらいものだ。

折れたメンタルもしっかり休まないと回復しないし、折れにくくするためにはトレーニングが必要だ。
アウトのサーブは拾う必要がないのだから、見極める目を持つこと。
自分もまたサーブを打てるようになること。
そもそも勝負をしたい相手とはコートにのぼらないこと。だってわたしは勝負じゃなくただラリーがしたいだけだから。

そのためには、今の自分の状態をつねに観察しながら、なにが好きでなにが嫌いか、やりたいこと・やりたくないこと、自分の意思を自分で掴んでおかなければならない。
そして、判断は早く。

…直感もだいじだ。
直感が鈍ると考えすぎに陥りやすく、考えすぎはなにもよいことがないから。
日常ひっきりなしに飛んでくるボール1球1球を、これはアウトかな？どうしようかな？などとじっくり考えている時間なんてないんだから。

したがって日頃から、しなくていい判断を減らし、すべき判断をすみやかに下せるよう、キレッキレの日本刀のように直感を研ぎ澄ませておけるのが理想である。
…だいじにしたい価値観は気づくのが大変でも、好き / 嫌い、やりたい / やりたくないなら、わかりやすい。

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今日はさっそく、その好機となる日となった。
もう数年ぶり、下手したら5年ぶりに、お店に足を運んで洋服を買いに行った。

洋服は洋服でも、結婚式に着ていくための一張羅、スーツを仕立てに。

迷うだろうと容易に想像はついたが、それでもできるだけ直感で決めようということだけ心に決めて臨む。

ここでビッグニュースだ。
なんと、ありがたいことに、スーツは夫が買ってくれるというではないか！
聞けば「年齢も重ねてきたのだし、結婚式に行けるぐらいちゃんとしたスーツは1着持っておきなさい」とのことだ。
ふぅー！！ありがとぉぉう！！

さて、最初にもっとも重要といえる生地選びだ。
スタッフさんに「こんな生地はいかがですか」と出していただいた見本を右から左へ受け流し、わたしは棚の下のほう、目立たない位置にある生地の山に埋もれている1枚を抜き取った。

まるでトランプの山から「あなたが選んだカードはこれですね」と引き当てるマジシャンのように。

ああもうこれしかないわ。

値札をちらっとみると、あらまあお高い。
スーツの値段というのは、ほとんど生地の値段で決まる。
夫に「高いけれど、これがいい。これしかないと思う」というと、「似合ってるし、ええんちゃうか。冬のボーナスもほとんど使ってへんし」と、ふたりして判断の速さ光のごとし。
ありがとうありがとう、ありがとう！！

サイズやフィット感だけはスタッフさんと相談しながら決めたけれども、それ以外はスーツのデザインも裏地もボタンも、すべて「目が合った」もので即決した。

結果的に、女性にしては珍しいスリーピース、しかもレディースではなくメンズの型で仕立ててもらうことにした。
わたしの「好き」と「理想」と「らしさ」がぜんぶ詰まった、世界でわたししか着こなせない猛烈カッコいいスーツが完成したはずである。

なお「2着で大幅割引」に乗じて、夫もしっかりスーツを仕立てた。
夫の生地も、わたしが棚の隅のほうにあるサンプルの山から1発で引き当てたものであり、夫も「それええな、それでいこ」と即決だった。

…わたしの直感、まだ錆びついてないじゃない。
自分で判断、下せるじゃない。
もう最高にクールだもんね、わたし(と夫)のスーツ。
スーツショップからCMのオファー来るぜ。夫婦で。

誰の顔色もうかがわず、誰にも気を遣わず、自分のために自分でズバッと判断できるって、すごく清々しい。
もっと研ぎ澄ませていこう。

ああ、今宵はいい夢みれそうだ。

今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近直感で決めたことは、なんですか？