スマホの扱いがどんどん難しくなっている
学生時代、試験前というのは机の整理からはじめてもあっという間に元どおり。
数学の問題集、歴史の資料集、古文のプリント、英語のノート…
机の上はまるで東京都内のように所狭しと教材のビルが立ち並ぶ。
今は毎日デスクワークをしているわけだが、必要なものはPCとマウスぐらいである。
ほかは紙の手帳とコーヒーが入ったマグカップ、ペン立てぐらい。
部屋の乱れは心の乱れというが、こと仕事のデスクにおいてはあまり散らかりようがない。
それでも心と集中力をかき乱してくる不届き者がいる。
ありとあらゆる「通知」だ。
スマートフォンだって、鳴るといえばはじめはアラームか、メールか、LINEぐらいしかなかった。
でも便利なツールがたくさん浸透してきた。
SNSだけでみんな3~4アプリぐらい入れているのではなかろうか。
そこに仕事関連ツールがくわわり、カロリー管理アプリや睡眠管理アプリなど生活管理アプリもくわわり、ニュースアプリやゲームなど。すべての通知をONにしていたらピッピコピッピコとひっきりなしに鳴っているのだろう。
PCに向かった瞬間から即座に集中モードに入れて、その集中が何時間も継続できるなら大した問題ではないかもしれない。
でも実際はそんな都合よくいかない。
集中できる貴重な時間を、振動や音や光で阻害されるのは由々しき事態である。
スマホの弊害はそれだけではない。
「すぐに反応しなきゃ、早く返信しなきゃ」と実に嫌な焦りがもたらされる。
スマホは肌身離さず持ち歩くものという共通認識ができあがっているから、「メッセージを受信したらすぐに確認できますよね?」「ひと晩経ってますけど、返事まだですか?」と画面の向こう側から声が聞こえてくるような気さえする。
苦しい。
文章が長いLINEもうっとうしがられるというが、あまりに文章が短すぎて何を聞かれているのか読み取れないこともある。
何度もラリーが続くほうが嫌だから何度も相手からのメッセージを読み直し、きちんと情報を伝えようと何度も推敲を重ねて、1通のLINEを書くのに30分以上かかることもある。
そんなふうなので時間もエネルギーも消耗してしまうのだ。
こういう世の中だからスマホでのコミュニケーションに対する心理ハードルを下げるべきだとは思うのだけれど、わたしと同じようにつかれちゃう人もいるんじゃないかな。
スマホは便利であることに変わりはないし、人によってはもはや財布代わりにもなっていて生活必需品。
「スマホさえ持っていればいい」といえばたしかにそう。
でも「スマホがなきゃ困る」レベルだからこそ、スマホから片時も離れられなくて、ときどき苦しくなる。
スマホで1台でできることが増えれば増えるほど、スマホの扱いがどんどん難しくなっているように感じる。
わたしは今のところスマホとは適切な距離をとりたいタイプ。
仕事中は基本的にサイレントモードだし、電話にも出ない。(かかってこないし)
そもそものアプリ自体も、設定で通知が来ないようにしている。
鳴らなくたってどうせ1日に何度か(何度も)さわるのだから、いちいち音や振動でお知らせしてもらわなくてもけっこうである。
なくてはならない便利ツールが心をおびやかすツールにならないように。
それを扱うのは自分なのだから。
スマホに心をコントロールされるのではなく、スマホと自分の心をうまくコントロールできる自分でありたい。