おもしろい本のジレンマ
春に観た映画『PERFECT DAYS』が印象に残っている。
めちゃくちゃおもしろかった!と鼻息荒く感想を語る類の作品ではないが、役所広司さん演じる平山の「ほどよくていねいな生活」に憧れる。
たとえばものの少ない部屋もそうだし、目が覚めてから出勤するまでのムダのない動き。
畳に布団を敷いて寝起きしている平山は、起きるとまず敷布団・掛け布団をざばっとたたむ。
我が家の寝室はフローリングのうえに折りたたみマットレスを敷くスタイルだが、折りたためるマットレスにも関わらず万年床だった。
でも平山の姿をみてから、わたしも起きるとまず敷布団とマットレスをたたむようになった。
なんとなく始めたマットレスたたみだが、今も毎日続いている。
1日を終えて眠りに就く前に本を読むのもまた平山の習慣だ。
就寝前の読書に関しては、真似したいと思いつつなかなかできていない。
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一昨日、書店に行って本を買ってきたからか、はたまたそれよりも前から読書熱が高まっているからか、昨夜は平山よろしく就寝前に本を読もうと小説を開いてみた。
一昨日買ってきたばかりの東野圭吾作品『卒業』だ。
直近友人と東野圭吾氏の話題で盛り上がったために、映画やドラマでしかふれてこなかった東野作品を開拓してみようと買ってきた1冊。
映像化されたもののなかでは『新参者』が好きだから加賀恭一郎シリーズから入ろうと思い、最初の作品である『卒業』を選んだ。
『新参者』もおもしろかったが、『卒業』も負けず劣らずおもしろい。
加賀恭一郎はまだ大学生だ。
大学の仲間7人のうち、次々に2人が亡くなる。
どちらも自殺と思われるが、他殺と考えられないわけでもない。
他殺だとしたら、身内の犯行としか考えにくい。
どちらにせよ、動機がわからないし犯人もわからない。
友だち「なのに」言えないのではなく、友だち「だから」言えないこと。
友だち「だから」知っていてもおかしくないのに、フタを開けてみれば友だち「なのに」意外と知らないこと。
決して薄い本ではないうえに、「この人とあの人ってどんな関係だっけ…?」とか「あれ、この人の家族は…?」などとページを行ったり来たりしながらも、結果的には一気読みだった。
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…わたしのnoteをよく読んでくれている方ならもう想像に難くないと思うが、例のごとく読み終わったら外が明るかった。
平山の場合、最初は布団のうえに座って本を読みはじめ、そのうち横になり、やがて老眼鏡を外し、読書灯を落として眠りに入る。
わたしも平山スタイルのが理想だが、ひと度読みはじめるとつい一気読みしてしまうからよくない。
逆に一気読みしない作品はだいたい「はずれ」だから、それはそれでまた嬉しくないけれど。
今日もまた就寝前に本を読もうと思っているが、果たして一気読みせず平山スタイルで眠れるだろうか。
でも、おもしろい本でありますように。
今日も読んでくれてありがとうございます。
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