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YOKYO

TOKYOの書き間違いではない。
YOKYOだ。

わたしは今、めずらしくじゃっかん後悔している。
友人の結婚式の余興を引き受けてしまったことについて。

この件は母・妹・夫・友人×2の、トータル5人に話した。
そのうち「え、断らなかったの?」的な反応が、なんと過半数の3人から返ってきた。
「あんた、そういうキャラじゃなくない?どうすんの?」と。

…余興って頼まれて断れるもんなの?

妹と友人Aからは、
・新婦とはどの程度の仲なのか
・新婦とは今後もつき合いがありそうか
などと生々しい質問をつきつけられた。
「そういう計算をしたうえで、断るという選択肢があったのだな」と気づいたところで後の祭りである。

どの程度の仲って、結婚式に招いていただける程度の友人ですが。
それって中の上以上には仲がいいってことじゃないの?

今後もつき合いがあるかって、わたしが県外に引っ越しちゃったから今はほとんど会える機会もないけど。
会う機会がないから、つき合いがなくなるかどうかはわからないじゃない。

考えてみても、わたしの頭では計算結果が出なかった。

だがしかし「大勢の前で余興をするようなキャラではない」はそのとおりである。
さらに悪いことに、わたしは「第3次夫婦大戦」のまっただなかなのだ。
(ちなみに第1次は結婚当初、第2次はおよそ1年前)
今まさに協調的解決に取り組んでいるところなのに、そんな人間があろうことか結婚式で余興など、どの面下げておこなえばよいのだ。

しかし、祝宴を控えた新婦にそんな水を差すような理由で断れるわけなかろう。
そう、断る理由がみつからないのだ。
「ごめん無理だわ」って、そんな「今日飲みいこ」を断るぐらいの軽さでいえないよ!

ここであなたはこう思うかもしれない。
「誰かと一緒にやればいいんじゃない?」

…それも考えた。
しかし同テーブルのなかでわたしだけ県外に住んでいる以上、なにをするにしても打ち合わせも練習もできない。
「Zoom?なにそれ?」みたいな人たちばかりだ。

絶望である。

∽∽∽

本当にまじで人前に立ちたくない。
100歩譲って人前に立つことは許容できたとしても、冷ややかな空気には耐えられない。
「うわー、つまんな」の、あの空気感…。

もしこれが仮にわたしのディナーショーだったら、数十名のギャラリーがいたって問題ない。
なぜならギャラリーはわたしのディナーショーをわざわざ観にきている人たちだからだ。

新郎新婦のための余興に、知らん人ばかり数十名の前で…。
それに数十名にとっても、わたしは知らん人なのだ。
「うわー、つまんな」フラグが立ってるよね!!


歌やダンスなんて、とてもじゃないけどできない。
ピアノ?いやいやうちにはキーボードさえないから、練習できない。
書道?いや一張羅に墨でも飛んだら、気持ちまで真っ黒に沈んじゃってお祝いどころじゃない。

新婦からは「わたしのトリセツとか、お手紙でも大丈夫なんで!」と言われている。
…わたしが新婦に宛てた個人的な手紙を、誰が興味持って聞くかね。
トリセツなんてもっとない。確定でスベる。
ちょっとあなた、それらは選択肢としてもっともないツートップですよ。

∽∽∽

わたしにできることで、できるだけ自分に注目が集まらず、「つまんな」の雰囲気にもならないこと。

…シンプルにスピーチだ。
もうこれしかない。

それもスライドを準備して、みなさんスクリーンに注目していただくことで、わたしへの注目をそらす作戦である。
スクリーンを使うということはつまり、照明も落ちている。
わたしが目立つこともない。
「つまんな」と思ってお食事に集中している方がいても、こちらは気にならない。
そう、スピーチなんておもしろくないだろうし、実際につまらなかったとしても、「つまんな」感がわたしに伝わらなければ問題ないのである!

さらに、スライドを準備すればセリフを覚える必要もないというおまけつき。

これは名案すぎる!
夫にドヤ顔で話してみたら「目的ずれてへん?よく思いつくね、そういうセコいこと」と、けなされているのか褒められているのか分からない反応が返ってきた。ちぇっ。

余興の件を話した5人のうち唯一、第一声で「おう、がんばれ」と前向きな反応を示してくれたのも、実は夫なのだがな。
わたしが甘かったぜ。

でも、おっしゃるとおりだ。たしかに目的はずれている。
なんならもう余興を「プレゼンの練習」ぐらいに考えている。
数十人の前でプレゼンできれば、ふだんのプレゼンなんて小さく思える(ようになりたい)。

目的がずれようが、披露できるものも下げる面もない以上、消去法でこれしかないのだから仕方がない。
断れなかったのだから、どうにかこうにか余興に向かっていくしかない。

「必要なときに、必要なイベントがやってくる」という名言がある。
友人関係の計算もできず、誰がみても余興をするキャラではなく、披露できるもの目立ちたくもなく、それどころか下げる面もないわたしに、きっと必要な試練なのだ。

撃沈したらしたで、noteのネタとして昇華すればいいのさ。

でもスピーチはがんばりたい(気持ちがほんのすこしわいている)。
だってわたし、ライターだもの。よいことばを贈りたい。
この本みたいにね。

今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたは友人の結婚式でスピーチするとしたら、どんなことを話しますか?

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