見出し画像

今日ときめいた映画231ー”Darkest Hour(邦題「ウィンストン・チャーチルーヒトラーから世界を救った男」)

(ヘッダー写真出典 映画.com)

映画のストーリーとしては、フランスのダンケルクに残留している英仏連合軍の将兵30数万人を救出するに際し、ドイツとの和平の道を探るのか、徹底抗戦を選ぶのか?その選択を巡って決断を下すまでのチャーチルの苦悩の日々を描いたものだ。

ただこの映画を見たのが衆議院選挙の終わった翌日だったこともあって、日本の政治家だったらこのような国家の危機的状況にどう立ち向かうのだろうかと思いを巡らせてしまった。英国民の中ではチャーチルはいまだにNo.1の人気だそうである。我々日本人の中にそんな存在の首相はいるだろうかなどと考えながら。

チャーチルは、ドイツとは講和は結ばないと決断し、ダンケルクに残された英仏連合軍兵士およそ30数万人の救出作戦を自らの力で行うと決意する。そのためにカレーに駐留していた英国軍(およそ4000人)の准将に当てて手紙を書くのだがその内容がこの映画の中で最も感動的だった。

ニコルソン准将 第30歩兵旅団カレー
「君たちが1時間でも長く持ちこたえることは、ダンケルクの部隊にとって最大の支援である。君たちに最大限の敬意を払いたい。見事な抗戦だ。しかしながらカレー部隊の救出は行われない。繰り返す。救出は行われない」

チャーチルの口述をタイプしていた秘書は手を止めて涙する。そして、
「何人が生き残るのか」と尋ねる。

チャーチルは女人禁制の作戦室に秘書を連れて行き地図を見せて状況を説明する。カレーもダンケルクも完全に包囲され爆撃にさらされている。そんな中での救出であるから1割の兵士を救出できたら奇跡だと言われていると。

秘書は尋ねる。
「もし救出できなければ?何日もつんです?」
「1日か2日だ」とチャーチル。

その後のシーンで、カレーは激しい空爆にさらされ、陥落。(描かれてはいないがニコルソン准将は収監先で死亡。享年44歳。史実のようだ)

このような手紙をしたためたチャーチルの心境はどのようなものだったのか。政治家とは時にこのような重い決断についても正直に語らなければならないことがある。それでこそ、「私が差し出せるのは、血と労苦と涙、そして汗だけだ」というこのスピーチが国民の心に届くのだろう。

日本の政治家にこのような覚悟と勇気と誠実さを期待できるだろうか?