私の推薦図書②「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
勢いに任せて書評の二連投。
書く気があるうちにやっとこう作戦です。
今月の13日に発売され、飛ぶ鳥を落とす勢いで売れている書籍です。
カテゴリはたぶん「ダイエット」とか「食事療法」とかに該当するのでしょうが、個人的には「情報リテラシー」の教本だと思っています。
著者の津川先生が、「あえてリテラシーの低い層に届けるためにこのタイトルにした」とおっしゃっていたことからもわかります。
ネットで気軽に情報にアクセスできるようになった現代において、読んでおいた方がいい書籍です。
もちろん、健康に興味がある人にもおすすめです。
世の中に蔓延するトンデモ情報を痛烈に批判している部分は爽快の一言。
そして、私が個人的にこの本に好感が持てるポイントが
統計的に証明された事実の紹介に重点を置き、メカニズムについてはほとんど触れていない点。
TwitterやAmazonのカスタマーレビューなんかを読んでも賛否両論点でもありますが…
この本を読んでいて考えを改めたポイントとして
「メカニズムにこだわりすぎてはいけない」
ということ。
研究者の端くれとしてはメカニズムに興味があるのですが
生理・病理のメカニズムは非常に複雑で、薬の開発においてさえ思い通りの結果が得られないことが多い。
当然ながら日々の食事内容による健康への影響のメカニズムを特定するのはかなり困難です。
なので、著者は「あえて」メカニズムへの言及をさけているのです。
実際にTwitterでもそう言ってました。
まず重視すべきはランダム化比較試験やそれらを統合したメタアナリシスによる結果。
メカニズムについて考えるのはその後です。
これは栄養学を考える上での科学的な手続きとして非常に重要かつ効果的だと思います。
私は本書を読むまでは「オリーブオイルが健康に良い」という説には懐疑的でした。
というのも、成分を調べるかぎりオリーブオイルには大したものは入っていない(ように見える)。
こんなものを飲んだからと言って健康に良い結果が得られるとは思えません。
しかし、ランダム化比較試験の結果、健康に良いことが証明されているそうです。
つまり、単純な成分だけではわからないメカニズムがここに隠れているわけです。
化学の専門家としては成分にこだわりたいところですが、そこにこだわりすぎて重要な情報を見落とす可能性がある、ということを学びました。
研究者、医師、栄養士、料理人、食品加工業者、料理研究家、一般人、立場によっても感じ方は人それぞれでしょうが
まずこの本を読んでみて、様々な議論が巻き起こることで日本全体として健康情報へのリテラシーが上がることを期待しています。
次回紹介する書籍は未定です…。
以上です。
せっかくなのでアマゾンアソシエイトのリンクを貼っておきます。