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Museo di San Marco〜サン・マルコ美術館(修道院)〜

サン・マルコ教会で思いの外、時間がかかってしまい、サン・マルコ修道院へ行ったのが昼前だった

サン・マルコ教会

サン・マルコ修道院も「事前予約がおすすめ」とネットで書かれているが、ダメもとで当日券狙いで行くとすんなり入れた


☆Museo di San Marco(ムゼオ・ディ・サン・マルコ/サンマルコ美術館:修道院)


サン・マルコ美術館は15世紀の修道院を利用した美術館(私はサン・マルコ修道院と言い慣れているのでそのように記載) ルネサンス時代のフレスコ画と16世紀の絵画などが展示されている

サン・マルコ教会のファサード向かって右に入り口がある
事前予約している人はその旨を係に伝える(予約のバーコードか何か見せるのかな?) 私のように事前予約がない人はそこでチケットを購入する

そして中庭へと入っていくと美しい柱廊の聖アントニーノの中庭が目に飛び込んでくる

入ってすぐ真正面突き当たり

青い背景に磔刑のキリスト様

◆フラ・アンジェリコ作 「キリストの磔刑を崇拝する聖ドメニコ」(1442年)

鮮やかな青い背景はラピスラズリによる着色(キリストの足元にいるのは聖ドメニコ)

「キリストの磔刑を崇拝する聖ドメニコ」に出迎えられたら、中廊の壁面に描かれているフレスコ画を見ながら、途中にある部屋に入ってみる

◆Sala Capitolare(サーラ・カピトラーレ/聖堂参事会員室)

◆フラ・アンジェリコ作「磔刑図」(1441−1442)

ゴルゴダの丘に立つ3本の十字架
その下にはキリストの詩を嘆き悲しむ人々たち(マリアやヨセフなど)

同じ室内にはキリストの磔刑彫刻もあった

◆Sala dell’Ospizio dei Pellegrini(サーラ・デッロスピツィオ・デイ・ペッレグリーニ/巡礼者宿泊施設)

当時の巡礼者宿泊施設を利用したギャラリーには多くの祭壇画が展示されている

◆フラ・アンジェリコ作「リナイオーリ(亜麻布製造組合)の祭壇画」(1433−1436)


いよいよ2階へと向かう通路へ行くとそこにもたくさんの絵画がある

2階への階段上がり口脇にも部屋があって入ってみる(なかなか2階へ進めない・・・笑)

◆Refettorio piccolo(レフェットリオ・ピッコロ/小食堂)

◆ドメニコ・ギルランダイオ作「最後の晩餐」(1480年)

ドメニコ・ギルランダイオはあのミケランジェロも一時期師事していたとか

「最後の晩餐」といえばミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会のレオナルド・ダ・ヴィンチの絵を思い浮かべるが、「最後の晩餐」を題材にした名画は他にもたくさんある

ついでに、この小食堂の先に出口があるのだが出口に向かう途中の廊下や部屋には19世紀終わりにあった都市開発時に撤去された古いフィレンツェの断片が展示されている

☆いよいよ2階へ


一階部分だけでも見どころ満載でなかなか2階へ上がれない
ようやく2階へ行くと階段を上り切った先に超有名なフレスコ画

◆フラ・アンジェリコ作「受胎告知」(1440−1450)

大学時代、教科書やスライドで見たフラ・アンジェリコの「受胎告知」を実際自分の目で見た時の感動は今でも覚えている

今回数十年ぶりに実物を目の前に、しばらく歩みを進められなかった

修復がされたのだろうか?数十年前より色鮮やかに感じる

◆祈りの部屋

2階には小さな祈りの部屋がコの時の廊下を挟んで並んでいる

小さな祈りの部屋(僧房)はなんと43もあり、各部屋には1439年から45年にかけてフラ・アンジェリコとその弟子たちにより「キリスト伝」のシーンが1つずつ描かれている

小窓から見える聖アントニーノの中庭

各部屋の絵を全てあげるのは無理なので、いくつかピクアップ

◆フラ・アンジェリコ作「受胎告知」(1438−1440)

サン・マルコ修道院にある2つ目のフラ・アンジェリコによる「受胎告知」

◆老コジモの個人礼拝堂

1階からの階段を登って右側の一番奥にある僧房
ベアート・アンジェリコ、ベノッツォゴッゾリと協力者による「東方三博士の礼拝」(1441−1442)

他にも素晴らしいフレスコ画の数々で、全部見て回るのには結構時間がかかる

2階には祈りの部屋以外に図書室と道院長室がある

◆Biblioteca di Michelozzo(ビブリオテカ・ディ・ミケロッツォ/ミケロッツォ図書室)

2本のイオニア式列柱が図書室というより教会の中のようだ 設計は図書室の名前になっているミケロッツォの設計

図書室といっても書棚がある訳ではなく室内の壁沿いに展示があり、羊皮紙に描かれた豪華な装丁の大型写本やフレスコ画を描く際の道具や絵の具などが展示されていた

☆フラ・アンジェリコとジローラモ・サヴォナローラ


フラ・アンジェリコとジローラモ・サヴォナローラはサン・マルコ修道院を拠点として活躍した僧

フラ・アンジェリコは前述のように数々の名画を残している
そして、ジローラモ・サヴォナローラはのちにフィレンツェの政権を握るまでに至る

◆フラ・バルトロメオ作「ジローラモ・サヴォナローラの肖像」(1498−1499)

1400年代終わりにフィレンツェに大きな影響を与えたサヴォナローラは、最後は教皇に破門されアルノルフォの塔(ヴェッキオ宮殿にある)に幽閉された後、シニョリーア広場で生きたまま焼かれて亡くなる(シニョーリア広場に行くとサヴォナローラが焼かれた場所に印がある)

この肖像画は彼の追随者であるフラ・バルトロメオ作、サヴォナローラが亡くなった直後の1498-1499年頃に描かれた

「サヴォナローラ」というと美大でインテリアデザインを専攻していた私にとって忘れてはならないのが「椅子」だ

ジローラモ・サヴォナローラの名前のつく「サヴォナローラ」という椅子
X型の脚は古代ローマにルーツを持つ なぜ彼の名前がついたのか?は諸説あるよう(習っただろうけどすっかり忘れている・・・笑)

兎にも角にも、サン・マルコ修道院の名がフィレンツェの歴史に深く刻まれているのは、この2人によるものだ

☆時間に余裕を持って行きたい


数十年前の記憶ではここまで見どころがあったろ思っておらず
ただただフラ・アンジェリコの「受胎告知」を見ようと訪れたら、見たいものだらけで最後は閉館時間が迫って足早になってしまった

おそらく、大学時代には友人と来ておしゃべりしながらサクサクと見て回ったであろう祈りの部屋を一つずつ丁寧に見て回ったこともあって時間がかったのだと思うが、今度いつ見られるかわからないのだから時間をかけて見ることが望ましい

隣接のサン・マルコ教会と合わせて拝観するなら時間には余裕を持って行きたいところだ

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