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【詩】開かずの間

開かずの間から漏れているぼんぼりの光
いつからかこの明かりに慣れ過ぎていた
時間の針はひしゃげたまま手招きしてる
禁忌を破ろうとする無鉄砲さが顔を出す

開かずの間から差し込むぼんぼりの明かり
いつだって仮面被った人たちの噂話が漂う
蜜と毒薬を混ぜ込んだような雰囲気だった
風のせいで隙間から顔をのぞかせた占い札

開かずの間から零れているぼんぼりの光
いつまでもかけられる蓄音機の子守り歌
鼓膜の奥を揺さぶって離れない不協和音
汗の沁み込んだ畳に寝転んで天井を仰ぐ

開かずの間を踏み破る時が来た暁には
豪奢な天下を引きずり降ろしてやって
永劫に舞い狂い歓声を叫び続けてやる
尻尾を隠した笑みを浮かべている鬼子

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