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【詩】Inadequacy
分厚い雲に覆われて
霞みきってほとんど見えない夕日を
「美しい」と呟いた君の瞳からは
何の幸福感も見出せない
むしろ 儚さと虚無が纏わりついていた
何だか悔しくなる
抱きしめようとした両手は震えていて
すぐに引っ込めて 拳を作ることしかできなかった
散り終えて
赤茶けてみすぼらしくなった花びらを
「綺麗」と呟いた君の瞳からは
何の安堵感も見出せない
むしろ 不安と焦燥が渦巻いていた
何だか辛くなる
君の左手を握ろうとしたこの右手は頼りなくて
差し伸べかけた形のまま 止まってしまった
こうして、暮れていく空の色を憂んでいる
螺旋状に交錯する、戻らぬ時の非情さと己の不甲斐なさ
こうして、明るくなる空の色を怨んでいる
いつまでもずっと