感覚の無い感情
コロナにかかったら味覚がなくなるらしい。 ああ、私の感情も似てるわ。 なんも感じなくなってるねん。 出かける事、欲しいもん考えたりしてワクワクしてたなあ、前は。 今はなんもいらんし、やる気でーへん。 どうせどこにも行かへんし、誰にも会わへんし。 マスクつけるから口紅もつけなくなった。 図書館の本も誰が触ったかわからない本を手に取るのが嫌になって、借りることができなくなってもーた。 私が変わっていっている。 こんなんじゃなかってんで。 心がコロナにかかってしまったんかな。
雨の日は嫌いやった。 でもな、なんか知らんけど今は雨の日が好きや。 雨の音聞くのがたまらなくいいねん。 アジサイ見ても、なんでこんなうっとうしい時期に咲くんや?ってくらいやってんけど、美しさに気付いてん。 雨の日のアジサイがええなあ。 たっぷり雨水吸って生き生きしてる。 窓辺に座ってぼんやり雨が降ってるのを見るのが、ものすごくいい。 ぜいたくな時間や。 世の中の音を消してくれる雨音。 きっと今の私は他の事遮断したいんかもしれん。 結構忙しく暮らしてきて、こんなにじーっとしてるのは初めてかもしれん。 なんであんなに毎日出かけててんやろ。 止まったら死んでしまう回遊魚やったなあ。
ピアノ名曲集に必ずと言っていいほど入っているドビュッシーの「月の光」、ベートーベンの「月光」が嫌いやった。 なんか元気なくしそうで辛気臭いなあって思っててん。 でも、それが今の状態の私には染み入るねん。 年齢とともに良さが分かってきたんかな。 でも子供が聞いたら、「なんつーくらい音楽聞いてんねん。」って言うわ。 今のやる気わかへん精神状態にはこの暗さがたまらん。 身に染みるわ。 確かに、元気な時に聞こうとは思わんな。 雨降りの曇天の下で、しんみりとしたピアノの音色に耳を傾けて、自分の殻にこもる時間もたまにはええかな。
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