『刀ステ』大千穐楽の配信を観て
先日大千穐楽を終えた 舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰
大千穐楽は配信で観たのですが、前回の考察からまた新たに考えることがあったのでまとめておきます。
前回の考察はこちら
大千穐楽で起きたこと
三日月宗近と山姥切国広の一騎打ちのシーン。
前までは山姥切国広は三日月に勝てずに「次は勝つ」(台詞の記憶は曖昧)みたいなこと言って、三日月はまた円環の始めに戻っていたのですが、
大千穐楽では、山姥切国広が明らかに前の公演よりも三日月と対等な力で戦っていました。
三日月から「強くなったな」と言われたのと「次はもっと強くなった俺が相手だ」と言う台詞も付け加えられていました。
どういうことなのか
この 『刀ステ』の本丸は、三日月宗近を「結いの目」とした繰り返しの世界で存在していました。
そこで分かったのが、今までの『刀ステ』の虚伝初演〜悲伝の全公演が円環の中で繰り返される本丸の姿を表しているんじゃないかということ。
この公演数まで演出に含めた末満さんの技法には驚嘆しました。
最後の大千穐楽を観てやっと物語は完結する訳ですね。憎い演出です。
末満さんが意識してやった憎い演出は他にもあって
初演〜悲伝までの間に複数のキャスト変更がありました。『刀ステ』に出演されているキャストさんはみなさん売れっ子なのでスケジュールを押さえるのが大変。
キャスト変更は悲しいけど止む無しといったところがありました。
しかし、この悲伝を観ていたらそれすらも演出に含んでしまったのではないかと感じたのです。
何度も繰り返す中で、歴史上の人物が自分が死ぬ光景を思い出していたり、三日月が「結いの目」となってしまったり、時空の歪みができてしまっていたわけです。
それは刀剣男士にも影響があって、キャスト変更=刀剣男士の性質の変化と言うようにそれすらも物語の一部にしてしまったのではないでしょうか。
舞台というナマモノで制約がある中で、避けて通れないことを『刀剣乱舞』という作品に織り込む末満さんのアイデア力は圧巻ですね。
また、「三日月宗近」の考え方は演じている鈴木拡樹さんにしか伝えられていなかったそうですね。
『刀ステ』の本丸にとって、三日月宗近という存在は謎めいていなければならなくて、末満さんの舞台上だけでない細かな部分のこだわりがあってこの舞台が成立しているんだなと改めて思いました。
末満さんは『TRUMPシリーズ』という舞台も手がけています。
末満さんの世界観が存分に味わえる作品になりますので、『刀ステ』で気になった方はぜひチェックしてください。
最新作 ミュージカル『マリーゴールド』
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