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28分の奇跡

2013年の1月、まだ完全に正月モードが終わっていない時、青森観光の最終地・八戸で新幹線の切符を買った。

本当は前日に帰ろうかと思っていたけど、新幹線の切符をとるのが大変そう&観光で歩き疲れたこともあり、駅直結のホテルに宿泊することにした。

翌日に八戸名物の「ばくだん」という丼を食べ、蕪島神社に行った後、新幹線の切符を買う。

新青森からの新幹線が混んでいるため、盛岡で秋田新幹線の車両に乗り換えて、仙台あたりで、同じ車両内の別の座席に移るというイレギュラーなチケットになった。

自分では絶対そういう買い方はできないので、駅員さんはすごいと思った。

が、ちょっと面倒くさい。

まあ、すべて座れるだけありがたいのかも。

八戸駅で新幹線に乗った時、3人掛けの真ん中の席だった。

「あれ、この席でいいのかな。すみません」というような言葉を通路側の方にかけ、座席に座った。

すると、なぜか話が始まった。

通路側の方が荷物を下に置いていて、「ごめんなさい」と言ったのだったか。

まずは、観光かどうか、という話をしていたと思う。

わたしは青森を横断して、八戸を昨日観光した話をし、「ばくだん」がおいしかったとも語ったと思う。

通路側の方は、八戸に住んでいるらしい。

その方は、八戸ってあまり見るとこないでしょ、いちご煮もあまりおいしくないし、というような、ちょっと卑下したような発言をしていた。

わたしは、「はっち」は楽しめて、「こどもはっち」も賑わってましたよ、と八戸の良いところについて語った。

その方はお孫さんがいるので、「こどもはっち」ならば思いっきり子どもが遊べそうと推薦しておいた。

「はっち」では、いきなりの獅子頭の歯打ちには驚かされたし、カネイリミュージアムショップもお土産が充実していた。

仙台メディアテークの店より、お店は広かったような気がする。

まだ、「はっち」は言ったことないのよね、でも「八食センター」のバーべキューは結構良かったかも、と八戸の良いところを語ってくれるようになり、ちょっと安心。

そういえば、蕪島神社に行ったことも話したかも。

ウミネコはあまりいなかったけれど、鮫駅のジョーズみたいな置物は、面白いなと思った。

わたしは神奈川県に住んでいるのだが、神奈川県に住んでいることを話すと、旅に行った場所で何回か「なぜここに来たの?」と言われたことがあった。

横浜生まれ・元市民だが、1回目に住んでいたところも2回目に住んでいたところも団地で、映像で見る「みなとみらい」や「中華街」のようなイメージとはかけ離れていた。

観光地は電車で30分くらいの距離にはあるが、そんな頻繁にいかないし、わたしにとっては「みなとみらい」より「紅葉坂」とか、「中華街」より「関内」のほうがザ・横浜という気がしてる。

初めての旅行先に行くのはいつも新鮮(八戸は2回目だったが)なので、「なぜここに来たの?」と言われるのが、意外だった。

観光について話が終わった後、通路側の方がどこに向かうか聞いた。

福島に住んでいる娘さんのところに向かうらしい。

実は、娘さんが福島に移り住んだのは、旦那さんの仕事の関係で、震災の後だったらしい。

親としては原発などが心配で福島に行くことを止めたのだが、娘さんは行くことに決めたらしい。

通路側の方の旦那さんの話は聞かなかったような気がするが(既にうろ覚え)、1人で娘さん家族の家に向かうと言っていた。

初めて会った人にそこまで話していいの?と思ったが、通りすがりの旅人だから打ち明けやすかったところもあったのだろう。

ちなみに、窓際にもその方と同世代と思われる女性が座っていたが、あまりにも2人で話し込んでいたので、迷惑ではないかとちょっと心配になり、横を向いたが、特に気にはしていないように見えた。

八戸~盛岡駅間28分、ほぼしゃべり通しで、「では電車の乗り換えがありますので」と説明しながら、連結された秋田新幹線へと向かった。

そういえば、八戸の前に三沢に行った時立ち寄った民俗資料館では、津波がこの高さまで来た、と言われたし、蕪島神社のあたりにも津波到達地点のマークがついていた。

青森についてまったく報道されていなかったけれど、青森も被害にあっていたことに、その時はじめて気づいた。

あれから8年経つが、あの時の記憶は今でも心に残っている。

1人旅って、こんな出会いがたまにあるから、面白い。

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