第11回「常にテーマに戻る」
道標となるテーマ
一つの文章を書くときには、必ずテーマがあります。それは当たり前のことで、テーマなくして文章を書くことはできません。
「今日一日の出来事」「今年の目標」「今自分がやるべきこと」「私の幸せとは」「いちばん好きな食べ物について」などなど、あらゆるものがテーマとなり得ます。このテーマとは、言うなれば文章を書く上での道標のようなものです。
テーマからの展開
さて、そこで文章制作を始めたばかりの書き手が陥りやすいことがあります。それは、あるテーマを決めて書きだしているのですが、いつの間にかテーマからどんどん離れて行ってしまうということです。
もちろん一つの文章には起承転結などのように、内容に展開を持たせることも大事なことです。
たとえば「私の好きなスイーツ」というテーマで書くとして、始めから最後までスイーツの紹介だけでは文章は成立しません。それでは単なるカタログになってしまいます。素人が書いたスイーツのカタログなどを読む人はいないでしょう。商品紹介だけでなく、その商品に出会った時のエピソードや、初めて食べたときの感激などが書かれているからこそ、一つの記事としての面白さがでてくるわけです。
寄り道の距離に注意
テーマはもちろん大切なものですが、そのテーマをさらに魅力的に見せるために、あちらこちらと文章の寄り道をする。その寄り道の中に読者を引きつけるものがあるのです。ただしここで気をつけなくてはいけないことがあります。それは、あまりにもテーマとかけ離れないということです。
「スイーツ」というテーマがあるのに、いつのまにか惣菜のことばかりが登場する。もっと新しいスイーツを紹介して欲しいのに、歴史的な背景ばかりがしつこく書かれている。そうなると読者は最後まで読んではくれません。そしていつのまにか、「いったいこの文章は何を言いたいのだろう」と思われてしまいます。文章を魅力的にするために、寄り道をすることは大事なことですが、あまりにもテーマから離れすぎてしまうと、まとまりのない文章になってしまうのです。
テーマへの「戻り方」3つ
では、どのようにすればテーマにそった原稿になるのでしょうか。方法はいくつかあります。
一つ目はテーマから逸れそうになるごとにテーマに戻ってくる。字数でいうと400字くらい寄り道をしたら、再びテーマに戻るという方法です。
あるいは、読者がテーマを忘れかけたころに戻ってくるのもひとつの方法です。原稿用紙で4、5枚ほど自由に書き進めたころに、思い出したようにテーマに戻らせるのも一つの手です。
その他には、始めにテーマを明確にしておいて、途中は自由に書き進めていく。そして、いちばん最後に思い出したかのようにテーマに戻ってくる。この方法は、はまればとても印象深い原稿になるのですが、これは高等テクニックです。なぜ高等テクニックかと言うと、この方法で書くためには、書き始めたときから最後の文章を考えておかなくてはならないからです。どのようにこの文章を着地させるか。その着地点を決めておかなければ、この方法はできません。まだ文章を書くことに不慣れだと言う人は、一番目か二番目の方法から練習してみてください。
とにかく大切なことは、どんな文章にも、必ずテーマがあることを忘れないことです。
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