苦手、プレゼンテーションの克服法
仕事柄、他人のプレゼンテーションを観察することは結構多い。
基本、人の講釈や解釈に興味は無いが、お付き合いなので仕方ない。
大概の場合は、パワポやPDF等で作った資料を参加者に配布し、プロジェクター大画面で見せつけられる、例のあの詰まらないやつだ。
ページ数、内容の濃さは人それぞれだが、比較的公務員なんかの作るものはよく出来ていたような記憶がある。
半面、社長と呼ばれる人種の方々が行うプレゼンは、配布資料の内容が極めて薄く、会社案内みたいなものが常だ。
その代わりと言って何だが、話す内容は経験に基づいており大変興味深いし、何より話術に長けていることが多いから、聞いていて飽きが来ない。
しかし、話術だけでは一流とはならない。
話の面白さに、驚きのエッセンスを少し加え、話す内容の濃さと相俟(あいま)って、初めて一流のビジネスエンターテイナーとして後世に語り継がれる者となれるのだ。
また重要な、瞼(まぶた)の重さに関しても、雲泥の差があって、
前者は、帰宅後風呂に入ってビールを飲んで、就寝前の水割りをくるりと回した頃と同じレベルで睡眠効果抜群だ。
後者は、ベルギーからやって来たブロンドの留学生ソフィと、英文科2年になったばかりの19歳の娘が、私の目の前で一緒に朝食をとっているの時と同じレベルと説明すれば違いをお判りいただけようか。
要は、肌の張りが、いやねー、空気感の張りが違うのだ。
前者の様に、長い一日の疲労がジワーッと出たタイミング、空気感もどろ~んと低気圧になっては、瞼も下がる。
しかし、後者の様に、パンッと張りのある純白の空気感なら、瞼も軽く、上へ上へと大きく開くのがあたりまえの話だ。
だって、初夏のブロンド娘が、白の薄着で、おは・よう・ございまーす、ちょうしは元気ですか?、パパ、って言われたことあるか?
ないやろなー。
ただ、どちらの場合も、涎(よだれ)が出ているところは、なぜか似通っているけどね。
さて、今度は私のプレゼンの話だ。
人のプレゼンに参加することも多いが、自分がプレゼンテーターになって人前で話す機会もこれまた多かった。
どちらかと言えば、得意な方だし、大好きだ。
何事(スポーツ以外)も見るにおいては、ライブよりも録画映像を好むのだが、こと自分が話す場合においては、確実にライブの方がお好みだ。
理由は明白で、「俺の話を聞いてくれッ!」と言う、中年男子特有の病に掛かっているのだ。
・準備段階の武者震い
・ひとこと目の緊張感
・ウケた時の高揚感
・ハズした時のオーガズム(股間がキューンってする)
・自己満足のナルシシズム
・終了時の達成感に、
・名刺交換時の安堵感
うーむ、やはりライブだ。
おっと、ここで、プレゼン苦手諸氏に一つアドバイスを送ろう。
でないと、今回の投稿、あまりにも無意味すぎる。
ヒントだ。
プレゼン苦手諸氏に置かれては、こんな方が多いと聞く。
・緊張のあまり頭が真っ白になる
・話している途中で我を見失う
・みんなに見られていることで、恥ずかしさが込上げてくる
・始まってスグ残りの時間が気になる
・準備したトークがズッコケる
・目がチカチカしてくる
・はやく帰りたい
正直にアドバイスする。
どうして、引き受けたのだ。
失礼、冗談だ。
今回は、そんな諸氏に、大盤振る舞いで、秘儀「3人に決めた」の術を伝授しよう。
ちなみに、この術の難易度は中の下と言ったところだ。
実は、この術を必要とする諸氏も、少人数、4人掛け、6人掛けのテーブルセッションだと、問題なく話せることが多い筈だ。
理由は2点。
1、聞き手が身近な人という、安心感。
2、言い直しても大丈夫という、安心感。
たぶん、この2点が話す前に揃っていると、ほぼ持病は発症しない。
少し、想像を膨らませる為に追加すると、
会社で、朝の部署ミーティングや報告会、同僚と集まって先週からの宿題を発表するぐらいなら、ほぼ緊張はしないだろう。
だが、少しレベルが上がって、社内と言えども、上司、上級職、ましてや社長に対するプレゼンとなると事情は変わる。
相手の事を知っており、時間的制約もそれほど厳しくないが緊張感がグッと増して持病が顔をのぞかせるのだ。
社長への直接プレゼンなんてのはほぼ経験しないだろうから、ある意味、今回の想定では一番緊張感があるプレゼンかもしれない。
副次的には、プレゼンテーターの数や持ち時間という要因も緊張感に連動する。
社外でやるプレゼンは、プレゼンテーターが3人程いることが多く、持ち時間は20分ぐらいが平均のはずだ。
それより短い、5分~10分のプレゼンは今回の考察の外へ置いて良いだろう。
それでも、緊張して頭が真っ白になるあなたを救ってくれる術は、腹痛の術みたいな禁じ手以外ほぼありえない。
肝となるのは、30分を超えるようなメインを務めるプレゼンの話だ。
お待たせした、秘儀「3人に決めた」の術の説明に入ろう。
先にも述べたように、人前で楽に話すには”安心感”を頭に理解させることが肝要だ。
一般に経験するプレゼンだと、聴衆者30人~100人ぐらいが多いはずだ。
もちろん、それより数が多くとも今回の秘儀は使えるから是非習得してもらいたい。
まず、プレゼンの順番待ちしているときに工夫がいる。
進行役の話に耳を傾けていると、臨場感と共にどんどん自分の順番が足音を立てて近づいて来てしまう。
そんな事をしてはダメだ。
それでは、抱えきれない膨大な緊張感を自分自身で呼び込んでしまっているようなものだ。
「では、山田さんお願いします。」と言われた時点で、
アップ、アップップ状態で、自分の名前が脈打って来るはずだ。
山田さん
山田さん
山田さん
山田さん
こうなっては、さっきまで覚えていたプレゼン内容がぶっ飛んでしまう。
要は、失敗が決定的になる瞬間だ。
では、どうするか。
この秘儀、少し下ごしらえがいる。
プレゼン当日は、少し早めに出かけ、少なくとも全体の5%ぐらいしか集合していない時間帯に到着しておくことがまず第1段階の準備だ。
理由は簡単で、聴衆者の観察をするためだ。
・早く来て一番後ろの席に着くやつ。
・関係者にやたらと挨拶をするやつ。
・知り合いがいないかとキョロキョロしているやつ。
・早く帰りたそうにしているやつ
・腕組みをして瞑想に入るやつ
まあ、いろいろといるものだ。
しかし、詳しく観察を深めていると、中に、おやッと思わせてくれる方がいる。
配布資料に目を通しているお方達だ。
理由は様々だろうが、いずれにしても、あなたが作成した資料に目を通してくれているのだ。
必ず幾人かは類似の行動をとっているから、その中からお気に入りを3人見つけ出し印を付けて置く。
この時の注意点は、バラバラの席を選ぶ事だ。
1人目は、自分と対角線上にいる後方が良いだろう。
2人目は、自分の目の前にいる方だ。
3人目は、真ん中の列の、中央やや左の方向で良いだろう。
後は、この3人に番号を振って、1,2,3、3、2,1、2,1、2,1、みたいに、
番号の人に話しかけるように、たった3人だけに集中して話し掛ければ良いだけだ。
それなりに広い会場の、客側からはあなたが誰を見ているかなど分からない。
なんとなく、後ろ、前、真ん中とキョロキョロしながら話していれば、それなりに見える。
注意したいのは、間違っても、後方3名を選ばない事だ。
これでは、前の聴衆者が、どうして後ろばかりに向かって話しているのかと、振り向いて、条件反射で2列目、3列目までが順に振り向いてしまって収拾が付かなくなるから要注意だ。
基本を守り、「3人に決めた」の術を会得すれば、プレゼン免許皆伝の日はそう遠くないのかもしれない。
よろしければ、是非サポートをお願いします。いただきましたサポートを励みに、心にムチ打ち、ペンに活力を持たせて創作活動を続けて参りたいと存じます。