平野晴景
速水御舟のいろいろな絵に魅了されています。
今日は、平野晴景という作品です。
速水御舟《平野晴景(へいやせいけい)》1924年、61.5cm×93.0cm、西丸山和楽庵
ちょうど今くらいの季節なのでしょうか。柔らかな春の陽射しと、なんということもない、静かな日常の風景を描いています。
広角レンズで撮影した写真のように、あえて地面を歪ませて描くことで、空と大地を広々と見せています。また、木の影を伸ばして描いていることで、実際には見えていない太陽の存在を感じさせていること、さらに、画面を占める面積は少ない道の部分にも、自然に目線を移していくことができます。
この構成と、さりげないようで綿密な表現に、御舟の美のセンスを感じます。
少し暖かくなってきたねと、誰かに話しかけたくなるような、穏やかな昼下がり。奥にかすかに見える白い煙からは、生活の音まで聞こえてきそうな、素晴らしい作品です。
ささやかな幸せとは、きっとこういうものかなと、この作品は静かに伝えてくれているような気がします。