アルテミス

ライター。慶應義塾大学文学部卒業。美術、映画、写真、カルチャーなど、好きなものや気になったものについて書いていきます。

アルテミス

ライター。慶應義塾大学文学部卒業。美術、映画、写真、カルチャーなど、好きなものや気になったものについて書いていきます。

最近の記事

マグリットとボス

マグリットは、1966年にクロード・ヴァイアルが行ったインタビューで、こう答えています。 「私にとってベルギーの絵画は、一般的な美術史において、たくさんあるエピソードの中の一つにすぎません。そしてよくヒエロニムス・ボスが引き合いに出されますが……、ボスは民話や空想の世界で暮らしていました。しかし私は現実世界の中に暮らしています。」 ヒエロニムス・ボス、彫版師不詳《樹木人間》1590-1610年頃、ボイマンス美術館 私も、ボスの作品と比較するのであれば、マグリットよりはダ

    • ルネサンスの名画101

      あらためてルネサンスの絵画作品を見たい、知りたいと思い、この本を手に取りました。 レオナルド、ボッティチェッリ、ラファエッロ、ヤン・ファン・エイク、ヒエロニムス・ボスなど、かなり幅広い画家の作品について、高階秀爾教授、遠山公一教授の知的な文章で理解を深めることができました。 この本を入口として、画家の他の作品を見てみたいと感じたり、作品をもっと詳しく見てみたいときっと感じられるのではないかと思います。 また、祭壇画や壁画は、やっぱりその場所に行ってみて、その空間の中で鑑

      • 春水堂ヴィーナスフォート店

        前回、ヴィーナスフォートのスタバについて書きましたが、もう一つ、私のお気に入りのお店があります。 春水堂ヴィーナスフォート店です。 こちらのお店は、ヴィーナスフォートのリニューアルに伴い、2018年3月にオープン。噴水広場のすぐ近くにあります。 もともとは代官山の1号店に時々行っていて、久しぶりにZepp Tokyoへ行った時に、ヴィーナスフォートにも春水堂ができているのを見つけ、とても嬉しく感じたのを覚えています。 先日、閉館前にお店へ行った時も、スタッフの方々に、

        • スターバックス ヴィーナスフォートファミリー店

          Zepp Tokyoやヴィーナスフォートへ行った時に、よく通っていたのが、スターバックスコーヒー ヴィーナスフォート(ファミリー店)です。 現在ヴィーナスフォートには、1階のファミリー店、2階のグランド店という、2店舗のスターバックスコーヒーがありますが、私がよくお世話になっていたのが、こちらのファミリー店です。 おそらくグランド店は、ヴィーナスフォートのリニューアルに伴い、2号店としてオープンしたようです。 グランド店のある2階中央広場は、かつてはカフェ広場と呼ばれ、

          Zepp Tokyo

          ヴィーナスフォートと共に、私にとって、とても大切な場所でした。 Zepp Tokyoは1999年3月にオープン。数千人規模のキャパシティを収容できる都内有数のライブハウスとして、多くの音楽ファンに親しまれました。2021年12月31日をもって営業終了。22年間で延べ1300万人以上の来客数があったそうです。 私も、2000年代前半頃から、だいたい年に一回くらいは行っていて、多い年には7〜8回行ったような年もありました。 青海駅に着き、ヴィーナスフォートやMEGA WEB

          ヴィーナスフォートの空

          前回に続き、ヴィーナスフォートについて書きます。 ヴィーナスフォートはエンクローズドモールと呼ばれる屋内型施設で、雨の日でも、いつも晴れた空を見上げることができます。 初めてヴィーナスフォートに来た時も、その後も、私はこのきれいな空にうっとりして魅了されていました。 もちろんフェイクの空=「空の照明」なのですが、フェイクだからこその表現もありました。 この「空の照明」の大きな特徴は、約1時間で、1日の空の変化を表現するというもの。特注の調光制御装置により、16パターン

          ヴィーナスフォートの空

          ヴィーナスフォートの煌めき

          先日、お台場のヴィーナスフォートへ行ってきました。ヴィーナスフォートは、2022年3月27日をもって営業終了が発表されており、閉館前に行きたいなとずっと思っていたからです。 ヴィーナスフォートは、パレットタウンの一角として1999年8月にオープン。22年間の歴史に、今、幕を閉じようとしています。 私が初めて行ったのは、たぶん2000年代の前半頃。いつもZepp Tokyoと一緒に行くことが多かったのですが、それ以外にも、ランチやショッピングで行ったり、クラス会の幹事になっ

          ヴィーナスフォートの煌めき

          A to Z

          この前の記事で、A to Z cafeをご紹介しました。このカフェは、奈良美智さんとgrafによる展覧会「A to Z」の精神を体現するものとして、展覧会と同時期の2006年にオープンしました。 その展覧会「A to Z」について、写真やインタビューで一冊にまとめられているのが、この本です。 「A to Z」は青森県弘前市の煉瓦倉庫を舞台に、AからZまでの小屋や他アーティストとのコラボ作品を含む街並みとして作られた、大規模な展覧会です。 いろいろな小屋の写真を見ていると

          A to Z cafe

          先日、南青山のA to Z cafeへ行きました。 このカフェには、奈良美智さんの作品(小屋や絵画など)が展示されています。以前にも行ったことがあったのですが、たまたま近くに寄ったので、数年ぶりにまた行くことができました。 リラックスできる雰囲気で、とても居心地の良いカフェです。店員さんも優しい。奈良さんの作品は、カフェと一体化していて、自然にそこにあります。 窓から見える広い空もきれいだし、食事やドリンクを飲みながら、奈良さんの作品を見ていられて、私はとてもリフレッシ

          もっと知りたい速水御舟

          この本を読んで、速水御舟の作品と生涯について、理解を深めることができました。 1894年に生まれた御舟は、14歳の時、松本楓湖の安雅堂画塾に入門し、画家としての活動を開始。その後、1935年に40歳で亡くなりますが、この本では、豊富な写真と解説で、御舟の生い立ちや作品を、時系列で追っていく内容となっています。 一つの型にはまることを嫌い、「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」という言葉を残した御舟の作品は、年を重ねるごと

          もっと知りたい速水御舟

          Recreation4

          久しぶりに聴いていたアルバムです。 Recreationシリーズも、それぞれ素晴らしくてとても好きですが、ジャケットのアートワークが、このRecreatin4は特に好きだなと。 光を感じられる、淡い色合いの写真がとてもきれいです。 モチーフや文字は小さく抑えて、あえて光や草にぼかしている感じが美しく、ピースでノスタルジックな空気感が伝わってくるところが好きです。 この前の記事で書いた、御舟の絵画とも共通する雰囲気がある気がします。 陽射しの優しさと、何気ない日常の大

          平野晴景

          速水御舟のいろいろな絵に魅了されています。 今日は、平野晴景という作品です。 速水御舟《平野晴景(へいやせいけい)》1924年、61.5cm×93.0cm、西丸山和楽庵 ちょうど今くらいの季節なのでしょうか。柔らかな春の陽射しと、なんということもない、静かな日常の風景を描いています。 広角レンズで撮影した写真のように、あえて地面を歪ませて描くことで、空と大地を広々と見せています。また、木の影を伸ばして描いていることで、実際には見えていない太陽の存在を感じさせていること

          向日葵

          最近、速水御舟が気になり、いろいろな作品について調べています。 以前、私の母が美術関係の仕事をしていたこともあり、幼い頃に、家にあった日本画の本を見ていた思い出があったのですが、あまり詳しくは知りませんでした。 真摯な姿勢が感じられる、美しく素晴らしい作品がたくさんあり、その一つ一つに感動しています。 その中で、いま見ていたいのは、この作品です。 速水御舟《向日葵》1922年、64.5cm×49.7cm、霊友会妙一記念館 写実性や細密描写は、御舟の作品の大きな特徴で

          Colony

          金沢21世紀美術館で開催中の「コレクション展2 BLUE」へ行きました。どれも素晴らしく、私はとても楽しかったです。 その中でも、特に気になった作品をいくつかご紹介します。 一つ目は、塚田美登里さんのColonyです。 塚田美登里《Colony》2002年、ガラス 展示スペースには、このColonyとWax and Waneという作品が、それぞれガラスケースに入って飾られていました。 どちらも、ブルーの色と、光の煌めき、有機的な細かい模様がとても美しく、心惹かれまし

          日本縦断 個性派美術館への旅

          好きな美術館は、たくさんあります。どこへ何回行ったとか、数えたことはないけれど。 私は、混んでいる美術館があまり好きではないので、ときどき、地方の美術館に空いている時間帯に行けたりすると、展示作品を一人でじっくり鑑賞できる時間があって、とても嬉しいなと感じます。 あと、美術館内のレストランやカフェって、とても素敵なところが多いですよね。 なかやまあきこ『日本縦断 個性派美術館への旅』小学館、2008年。 この本には、日本国内の美術館、60館が紹介されています。 私も

          日本縦断 個性派美術館への旅

          スイミング・プール

          金沢21世紀美術館の恒久展示作品の一つである、レアンドロ・エルリッヒのスイミング・プール。 この作品は、地上から見下ろしている時には、水で満たされた普通のプールのように見えます。ライムカラーもとても綺麗。 しかし、地下へ潜り、プール内部に入ると…水が張られているのは表面だけなのだということがわかります。そして、そんな自分達の姿を、もし地上から見ている人がいたら、その人達からは、ゆらゆら揺れる水面の中に私達が見えている。 レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》200

          スイミング・プール