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パパイヤ・ママイヤ/乗代雄介

▫️あらすじ
十七歳の夏、SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは、木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをして初めて会った。アルコール依存症の父親が大嫌いなバレーボール部のパパイヤと、芸術家の母親に振り回されて育った、写真が好きなママイヤ。二人は流木が折り重なる“木の墓場”で週に一回会うようになり、次第に心を通わせる。そして奇跡のような出会いは、どこにも居場所のない二人の夏を、特別なものへと変えていく。少女たちの儚くも輝かしい一夏を瑞々しい筆致で描く、新時代のガールミーツ小説。

▫️感想
パパが嫌なパパイヤと、ママが嫌なママイヤの一夏のかけがえない日常を描く。乗代さんの作品は2作目。前回読んだ「旅する練習」は去年読んだ本の中でも一番印象に残ったといっても過言ではないほど、自分の中でも大切な1冊になっていたので、期待値はとても高かった。だが読んだ感想は...期待以上。2人の言動が、関係性が輝かしくて、瑞々しくて、でも切ない。物語のほとんどが2人の会話調で進んでいくため、あっという間に読み終えることができた。読み進めていくにつれて、「(乗代さんの作品は)文章の取捨選択が絶妙で挑戦的だなあ」と思っていたが、解説を書かれていた小説紹介クリエイターのけんごさんも「乗代雄介さんは、行間の美しさ・書かない美しさを見せてくれる小説家である。特に『パパイヤ・ママイヤ』は、書かない塩梅が絶妙な小説であった。」と書かれていて、同じ意見...嬉しい...となった(笑)これからも注目していきたい小説家の1人である。
▫️心に残った一行
P180 「なんか、どうせ変わっちゃうことをわかって思い出を巻き上げてるみたいでさ」

P244 「一夏に流した涙。みんなわたしで、信じられるわたし。」

▫️こんな人におすすめ
・会話が多い読みやすい物語を読みたい方
・夏が舞台が作品を読みたい方
・中学生の日常を描く作品を読みたい方

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