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新年の運試し ガレットデロワで思い出す、パリでの年越し話

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あっという間に2021年も3か月目。ずっと書こうと思ってしたためておいた年始のことを、今更だが載せてみる。

フランスの伝統行事、ガレットデロワは近年日本でも流行り始めているらしい。

アーモンドクリームの入ったパイの中には、陶器でできた人形が入っていて、切り分けて食べたときに人形が当たった人がその日一日王様になって祝福されるというもの。そしてその1年間は幸運になるとか。

初めてガレットデロワをしたのは私が小学生の時、中学受験塾で理科の先生が教えてくれた。うろ覚えだけど、確か地層について勉強してたとき。
地層に見立てたクレープケーキを持ってきてくれ、中のフェーブは陶器の人形ではなくブルーベリーだったはず。ケーキはもちろん美味しかったし、あたりが来ないかドキドキしていたのを思い出す。

そんなガレットデロワ、フランス滞在中にもおいしくいただいたのだが、今でも鮮明に覚えていることが。

2013年12月の大晦日。

地方都市にいた私は、年越しは友人と過ごすフランスの習慣に従い
パリ在住の友人・知人総勢8人と友人宅でワイワイ過ごしていた。
ワインをたらふく飲み、TVに写るエッフェル塔を見ながら年を越した。
花火の音や外にいる多くの人の声を聞きながら、日本の『ゆく年くる年』とは真逆だな~ なんて思っていた。

午前1時過ぎ、そろそろお暇しようかということで、友人2人と家を出る。
パリ市内は大晦日、公共機関はすべて無料で夜通し動いているので非常にありがたい。
友人家から最寄りのメトロまで歩いて10分弱。とっても寒かったけど、いい気分で歩いていた。いい1年になるといいな~と思いながら。
メトロに着き、階段を下りる。暗かったので手すりにつかまりながらゆっくりと。
私の前にいた友人Hちゃんが、後ろを向きながら階段を降りるので
危なっかしい~と思った矢先、彼女は階段を踏み外し、踊り場まで転んでしまった。
もう一人の友人Jちゃんと、大丈夫~?と笑いながら踊り場まで降りると、
なんと、Hちゃんが泣いているではないか。
そして、ひたすらAie Aie(痛い 痛い)って言っている。
フランス人というか、外国人って結構オーバーリアクションだから(サッカーの試合とか見るといつも思う)、大したことないでしょって思っていたけど、救急病院にこれから行くと言い出した。
えっ、これから?!と思ったけど、見捨てて帰るわけにもいかず
Jちゃんと3人で救急病院へ。ケータイで調べたところ、バスで行けることがわかり、バスに乗る。Hちゃんはシクシク泣いたまま。

30~40分くらいだったろうか、バス停を降り、病院へ。
日本の救急病院よりももっと暗く、最初開いているかわからなかった。
受付を済ませ、Hちゃんはすぐに処置室へ。Jちゃんと私は入り口近くの待合所のソファーで座って待つことに。
時刻は確か2時とか3時とか。すっごい眠い。
でも、入り口なので結構人の出入りが多かったのと、頭や肩が血だらけの人が入ってきたりしていたので寝られない。なんかすごいところ来ちゃったなという感じ。
処置室に入ってから1時間以上経っても一向にHちゃんは現れず。
年越しで騒ぎまくり&お酒のおかげで疲れと眠気がピーク。Jちゃんとの会話もなくなる。

2時間近くした後、処置室が開き、Hちゃんが現れた。
腕に目をやると・・・ギブス姿。

思わずJちゃんと一緒に笑ってしまった、いや笑いごとじゃないんだけど。
でもHちゃん本人もなんかにやにやしてるし。笑

結果、右手首が折れていたそうです。ひえー・・・
そりゃ痛いわけだ。疑ってごめんね。

利き手が折れてしまったので、仕事ができなくなってしまったHちゃん。
フランスの労働法では、病院から証明書が発行されれば会社を休めるそうで。
彼女もしっかり書類をもらい、「会社休める~!!」って喜んでいた。オイオイ。

なんやかんやで病院を出たのが朝4時くらい。私はJちゃんの家に泊まっていたので、途中でHちゃんと別れ、Jちゃんの家へ。
順番にシャワーに入って朝8時くらいに寝た気がする。完璧昼夜逆転。
お昼頃に起きて、Jちゃんと一緒にHちゃんの家に行く。
右手が使えないので、食器洗いなど身の回りのことを手伝う。
その日だったか、翌日だったか忘れてしまったけど
Hちゃんの家でガレットデロワをする。

フェーヴが当たったのはHちゃん。(元旦で不幸を落とし切ったかな)
紙でできた王冠をかぶり、ギブスと一緒に映った写真は今も手元に残っている。めっちゃ笑顔。

当時私はパリで職探しをしていて、Jちゃんの家に泊まったり、前年の夏にトゥールで知り合った某一流企業の駐在のお姉さん宅に居候をしていたりしていた。
仕事探しをする傍ら、仕事を休んでいたHちゃんとほぼ毎日会って
おしゃれなパティスリーや美術館など、色んなところに遊びに行った。
この時に色んなパリを知れた気がする。観光では絶対いかないところにも行ったり、お金をかけなくてもこんなに楽しく過ごせるんだなぁ、と知った。

ガレットデロワから随分話が逸れてしまったけど、年越しの季節になるといつもこのことを思い出す。衝撃が大きかったことって色褪せずに覚えているものだよね。

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