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読書感想文「原因において自由な物語」五十嵐律人(講談社?)
いつかの「小説新潮」の著者プロフィールに載っていた題名に惹かれて、図書館の棚から手に取りました。
棚に見つけたときの「あった」という感動、家でじっくり手に持っているときの、題名の文字情報だけだったものがソフトカバーの本として存在していることへの感動。
黒が主体の表紙、文字の端が金粉を散らすような書体、装丁から素敵です。
冒頭から小さな謎が散りばめられて読み進める背を押され、中盤に差し掛かると物語全体の構成が見えてきて、大きな謎の解明に向かってぐんぐん読み進めることになります。
「それなりに盛り上がって--燃え上がっているようで。」といった語りのユーモアのようなものが時折現れること、前半の憂のエピソードで出てきた「ユウくん」の爽快さなど、細部にも好感を抱きました。
物語のキーである破滅願望・死への希求にはあまり深く踏み込まない印象を受けました。
物語が、額賀澪「タスキメシ」にも似て、サイズの揃った紙の束のようにまとまっていました。