製作記録 2024/03/30-透明骨格標本
去る3月末のこと。ラットの解剖をしたまさにその教室へと足を運び、透明骨格標本づくりの現場に到着したのだが、意外に人が誰もいない。不審に思っているともう一人やってきたものの、それで終わり。どうやら急遽キャンセルが続きこの2人だけになってしまったようだ。
今回作る透明骨格標本というものは、赤や青に染まって体が透けて見えるもの。言葉で説明してもよくわからないだろうから、詳しく知りたいならば完成品の写真を見てほしい。
アリザリンレッドやアルシアンブルーといった薬品で硬い骨、柔らかい骨をそれぞれ染めることによって透明になっていく肉体から浮き出して見せる標本の、はず。
実際には僕たちが実行したのはその後。理論を軽く説明された後、下処理されたものの入った小さい試験管に2%水酸化カリウムを投入し、ふたをする。単純に言ってしまえばそれで終わり。あとはそれぞれ25パーセント、50パーセント、75パーセント、100パーセントのグリセリン溶液などを準備すれば、この日は終わり。
もちろん、それだけで完成するわけではない。この後は家に持ち帰って、作業を続けるのだ。予定では、この4週間後に終了するため、4月末日程度にはすでに終わっていると考えられていた。
しかしながら、実際に完成したのは5月上旬。なぜこのようなことになったのか、語れば語るほどにばからしくなるような理由しかないため勿論割愛。なぜかといえば本当に忘れていた以外の理由がなかったからだが。
まずその1週間後、なんとか記憶していたとおりにグリセリン溶液への入れ替えを済ませる。この際に失敗して試験管内の液体を手に駆けてしまう事故が起こった。大丈夫だろうと高をくくっていたものの腕が若干痛むことに不審に思い調べてみると、意外なことに水酸化カリウムは20パーセントでも人体に有害だという。さすがにその10分の1ほどの量ともなればそこまでではないのだろうが、それでもさきほどからなにやら腕が傷んでいるため、念には念を入れて手を腕を石鹸と冷水で洗い続ける。
そういったことがあったからか、グリセリンでは手にかかっても問題ないと分かっていてもどうしても委縮してしまう。そうなると自然優先度が自分の中で下がっていってしまうのか、記憶から薄れていくようにもなってきた。50パーセントへの入れ替えは2日遅れ、75パーセントへの入れ替えも3日遅れた。そして肝心の100パーセントへの入れ替えは予定通りに行うつもりだったのだが、ちょうどその日に奥多摩合宿に行っていたことで中断せざるをえなくなり、結局6日後へと延期された。
そんなこんなで予定をずらしたため成功するかどうかは疑問だったのだが、幸い失敗とは言えない出来上がりになった。グリセリンが肉の細胞の隙間から入り込むため、未だに溶液のうちに時間をかけることができたのが良かったのだろうか。
以下は、完成写真とそれについての注釈。いつか、ラットなどの小動物で作ってみたい……