雑文「ショートショートnote杯 ネタバレ自作解説②」
ショートショートnote杯に投稿した自作のネタバレ解説をやっていきます。
前回の記事の続きです。3作品を解説した前回はこちら↓
今回はそんな自作7作品のうち残る4作品について、ネタバレ解説をしていきたいと思います。オチのネタバレはできる限り避けますが、どんな発想で書いたかの解説になりますので、まだ読まれていない方は、ぜひ作品を読んでから解説をお読みください。
ショートショート「アナログバイリンガル」
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前回解説したこれまでの3作品が「クスッと笑えるショートショート」だったので、少し毛色の違う作品にしてみようと思って書きました。
これは難しいお題でした。まず「アナログ」という概念に、あまり共通認識が無さそう。本来の意味を使っても、それが共通認識になっていないとフリとして機能しないわけです。
また、前回も触れましたが「お題を固有名詞的に使う」のは嫌だったので、まず「アナログ」をWikipediaで調べると、アナログ=アナログレコードのこと、という説明を見つけました。
そう言えば昔、アナログレコードのことを「アナログ」と呼んでいたような気がするな。これは他の人は使っていない解釈では無いかな。じゃあバイリンガルは?
ここで前回の解説でも出てきた手法「お題に助詞を入れる」を使って「アナログ(が)バイリンガル」と解釈してみました。
アナログレコードがバイリンガルって? あ、アナログレコードってA面B面があるな。それぞれ別の言語の歌が録音されていたらバイリンガルって呼べるな…という感じで設定ができました。
あとはこの設定を活かした流れとオチを考えるわけですが、オチと繋げるのには苦労しました。これも前回も出てきた手法、「なぜB面を別の言語にしたのか?」と考えて、作品ができました。
ただ本当は、もう少し字数を使って、「フリ」と「オチ」の間隔を空けたかった。フリからオチまでに溜めがもう少しあった方が、オチが活きた気がします。字数制限の難しいところです。
ショートショート「空飛ぶストレート」
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反則技とも言える「メタ(メタフィクション、これが創作であることを創作内の人物が理解していたり、現実の私たちに喋りかけてきたりする作品)」を使ったギャグ系ショートショート。まあ、楽しく書けました笑
これもお題が難しかったです。この時期にはかなり他の方の作品も出揃っていて、「ストレート」の解釈もほぼ出尽くしている。捻ったお題解釈で書けないものか頭を悩ましている中で、「あぁ、この状況をそのままネタにしちゃえ」と思いつきました。
「メタ」をオチではなく設定に使う中で、自然とオチもギャグになりました。
ちなみに私は結構この「メタ」を使った作品を書きます。ショートショートnote杯以外の作品ですが、複数作あるので探してみてください。
マガジン「ショートショート」
ショートショート「数学ギョウザ」
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実は、今回投稿した中で、個人的に最も気に入っている作品です。
他の解説でも触れましたが、お題を「固有名詞的に使う」ということをやりたくなるお題ですね。「ある店に「数学ギョウザ」というメニューがあって、それを食べると…」という。
もちろんマイルールですが、私はこのようなお題解釈を避ける傾向があります。
では「数学ギョウザ」をどう解釈しようかな。フェルマーの最終定理にかけて、「ギョウザの皮の余白が足りない」とかやっても面白いかな、でも「余白が足りない」というエピソードを知らない人には伝わらないな、などと考えていました。
(余談ですが、ショートショートを書くときは「何をどこまで読者の共通認識として扱うか」は結構難しい問題ですね)
さてそんな中で、ひとまずギョウザの作り方を数式に落としみました。
『(ひき肉 + キャベツ + ニラ + 皮)× 蒸し焼き = ギョウザ』
うん、こんな感じか。
あ、彼氏にギョウザの作り方を数式で教える理系女子の話とか面白いかも。作り方を間違った時の指摘も数式で。x = ごま油。x ≠ オリーブオイル。みたいな。
そんなほのぼのした話をイメージして書き始めたら、まさか。
この作品では、かなり踏み込んで「フリ」をしているので、読まれる方によってはオチがバレたかと思います。ただ、ラストでオチに気付いた読者には、フリが効いている分、オチがバシッと決まったのでは無いでしょうか。
どこまで踏み込んで「フリ」をするかもショートショートの難しさです。
ショートショート「違法の冷蔵庫」
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正直、あまり好評ではなかった作品かも知れません苦笑
実際に作者もアップするかどうか悩んだ作品です。
シンプルなパターンだと、冷蔵庫の中に死体とか、違法な物が入っているという話にしたくなるお題ですね。例によって捻くれているので笑、それ以外でどうお題を解釈しようかと考えました。
結果、「「違法(という概念)」を冷蔵するための冷蔵庫」という話にしました。
あとは、冷蔵するとどうなるのか? と考えて流れが出来ました。
オチについては2パターン思いつきました。「違法を冷蔵できるというのは嘘」パターンと、「本当に違法を冷蔵できる」パターン。
オチの型は綺麗ではあるのですが、あまりにも定番の流れすぎて、少し捻りが足りなかったかも知れません。
以上で、全7作品のネタバレ自作解説は終了です。
ネタバレ解説も書くのに結構時間がかかりました。この遅筆はどうにかしなければ、ですね。
改めてですが、ショートショートnote杯、作者としても読者としても非常に楽しめました。同じお題でこれだけ多くの人がショートショートを書く機会というのもなかなか無いでしょう。ありがとうございました!
元ネタであるカードゲーム「ショートショートnote」もぜひ買ってみようと思います!!』
……そんな多くの投稿を見ながら、ショートショートnote杯の主催者、高橋晋平はニヤリと笑った。
「ショートショートnoteの販促戦略は大成功だったな。投稿者が皆、無料で商品の宣伝をしてくれて、さらには自分で買ってくれる人までも……」
(了)