【台詞】
くたびれた心を誤魔化すように、笑ってた。
何にもないってことに気づかないように。
そんなこと、知られないように。
ただの愛憎やそれが生んだ悲劇なんてものじゃないからさ。
つまらないものにならないよう、隠そうとしてた。
その声や指の形を思い出してはよみがえる。
僕らがまだ二人だった頃のこと。
いつの間にか、薄れていった気持ち。
見えないなりに、手探りでも触れようとしていたのに。
もう戻れないとしても、仕方ないことと思いきれなくて。
最後にひとつ台詞をあげた。
それから、一人と一人は独りになった。