100均でリコーダーが買える時代で良かった

オチのない雑記です。

音楽の素養のない子どもだった私にとって、音楽の授業というのは小学校時代から苦痛だった。
特にリコーダーの授業が嫌だった。

こんなもの(失礼)吹けて何になるのか。
プリントの五線譜に先生の言う通りに「レソド…」などと鉛筆で書き込んでひたすら練習する。
先生の手拍子の音が教室に響き渡る。

拍子通りじゃなくたっていいじゃん。
別に好きな曲でも何でもないし。
大体何だこの曲…。
あっ、また間違えた。
ここの指遣いってなんだったっけ。
あーもう!面倒くさい!
なんか息で湿ってきたし。

タンギングがどうとか合奏の発表会がどうとか。
そんなことはマジでどうでもよかった。
発表に向けて謎に熱くなる教師と一部の子ども達。
朝練しようとか昼休みに練習とか言い出す。
やめてくれ。


音楽はできないけど何故か機械仕掛けのように練習しまくって正確無比な演奏を披露する男子(夫が実はこのタイプであったことが判明した)を横目に、
心底うんざりしていた。
この時間は一体何なんだろう、と。


話は翻って今年、100均で透明&ラメ入りの可愛いリコーダーを見つけた。
ピンクか黄緑。
あの学校指定のプラスチック感満載のザ⭐︎茶色のやつとは大違いである。
何で茶色だったのかな。
木っぽいから?
うんうん、どちらにせよプラスチックなんだから色だって自由だよねと何だか嬉しくなった。

小学生のやつだ!と娘が手にとって嬉しそうに眺めているのでお買い上げ。
それからというもの、私がピアノを弾いているとピヒョー!と力一杯吹いてセッションしてくる。

私のピアノもぐだぐだだし、娘のリコーダーもぐだぐだ(手が小さくて指が届いていないのとそもそも運指する気がない)なのだけど、一曲終えると妙な爽快感がある。

ちなみに100均のリコーダーは正しい運指でもちょっと(かなり?)変な音がする。
ドラえもん映画の「地球交響楽」で
リコーダーの下手なのび太が新たな音である「の」の音を出していたが、大体そんな感じである。

上手い下手、チューニングに関わらず、手に取らずにはいられない、音を出さずにはいられないのが楽器の楽しさなのだと思った。
人と音を一緒に奏でるのって、こんなに楽しいんだ。

あんまり100均のリコーダーで「の」の音を出しまくるので、ついにAmazonでヤマハの透明リコーダーをポチった。
どうせ指定のものも買うのに、入学する前からわざわざ買うとは自分でも思っていなかった。

正直、小学校や中学校でリコーダーの授業が必要だとは思っていない。
吹けなくたって全然困らない。
(夫は今でも吹けることを自慢してきて腕前を披露してくれる。おじさんのリコーダー姿は面白い。)

けれど、どうせ習うのなら出会いは楽しい方がいい。

少しずつ嫌にならないペースで運指を教えて、授業が嫌になったり劣等感を持ったりしなければいいな。

あんなに大嫌いだったリコーダーは、ピアノと共に娘にとって初めての楽器になった。
ピアノに比べて激しく演奏しても咎められないし、軽くて場所も取らないからお気に入りのようだ。

100均でリコーダーが買える時代でよかった。
娘と合奏するきっかけを与えてくれて感謝している。
学校で指導が始まれば、私がそうだったように娘もまた、
やっぱりリコーダーって面倒くさい!と思うかもしれない。
けれど、出会った時の楽しさを少しでも思い出してくれたら。
音楽との関わり方が少しずつ違っていくんじゃないかな、と期待している。


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