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菜の花が連れてくるもの

菜の花の旬の時期は正確にはいつなんだろう?
いつのまにかスーパーに束が並び、またいつのまにか消えている。

ひと束しか棚に残っていなかったのをカゴに入れ、いそいそと買って帰った。
  
ボウルに張った水にザッと放して、フライパンで炒めた豚こまの上に並べて。
酒、醤油少々、塩胡椒。
あとはそのままフタをして蒸し焼きに。
出来上がりにごま油をたらり。
  
苦味があるものは、春の味。
簡単な味付けで滋味深く。

醤油を樽仕込みの良いものに変えた。
醤油や酒、塩、味噌、マスタードなどなど、基本調味料をちょっと良いものに変えるだけで、いつものシンプルな食事がご馳走になる。
調味料の数も、ぐっと減らして。いろいろ入れなくても春の食卓は色鮮やかで、素材が美味しい。


そろそろ私の友人たちに会いに行きたい。
この春大学生になった次女に、仲の良い友だちができるまで、私は誰にも会わないことにしようと決めていた。

次女が大好きで、将来は戻ろうかなと言っていた田舎の家が今は無くなり、背水の陣とでもいうように始まった関東での新しい生活。新しい人生。
大学もアルバイトも、新しい友だちも彼氏も、電車通学も賃貸マンション暮らしも全て初めてで、不安になっていた彼女。
私が東京にいるたくさんの友人と会って楽しくしていたら、さぞ寂しかろうと思って話にも出さないようにしていたのだ。

青い空のある街。春の陽気も手伝って、そろそろ私も動いても良さそうな雰囲気になってきた。
次女にも長女にもようやく落ち着いた笑顔が増え、全てがどんどん前に進んでいく。

娘たちが連れてくる友だちのおかげで、私を「お母さん、お母さん!」と呼んでくれる若い人たちが増えていくのが楽しい。
みんなの若い春の菜の花のような笑顔が、本当に嬉しい。

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ame
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