映画観ました報告『スープとイデオロギー』
日頃映画を見ない私の映画見ました報告。
今日みた映画は、『スープとイデオロギー』。
https://soupandideology.jp/
大阪出身の在日コリアン ヤン・ヨンヒ監督によるドキュメンタリー映画。
済州島での島民武装蜂起と島民の虐殺が行われた「済州島四・三事件」の渦中にいた監督のオモニ(母)は大阪で朝鮮総連の活動に参加し、息子たちを北朝鮮の帰国事業に参加させ、年金生活を過ごしていても北朝鮮の息子たちに仕送りを続けていた。
アルツハイマー病を患い、徐々に記憶が消えていくオモニとの日常生活の中で、なぜオモニはイデオロギーに依拠して生きるようになっていったのかを紐解いていくドキュメンタリー。
政治の問題、それも朝鮮半島の南北問題を扱うドキュメンタリーは表現方法ひとつとってもどちらかの陣営に賛意を表すことにつながりかねないが、この作品はその是非について述べることは行っていない。
なぜオモニは北への忠誠を誓ったかは、彼女が秘してきた済州島の悲劇にあった。家族と婚約者を失ったトラウマ、歴史に翻弄される中で家族を守りたい一心で生き続けたオモニの強い思いが、作中で徐々に明らかになっていく。
家族の人生を守るための選択がイデオロギーであり、彼女の生活の支えだった。生きるためのイデオロギー選択を余儀なくされた人々がこの日本にも少なからずいることを思い知った。
朝鮮半島の南北分断から70年以上たった今も続く歴史の荒波。
直接経験してきた世代の記憶を追体験として記憶に留め、イデオロギーや信条の異なる人たちと如何に共生していくべきなのかを心に置きながらこれからも歩んでいきたい。