マガジンのカバー画像

海と山の境目

14
@@@雨音への想い@@@隆志への助言@@@
運営しているクリエイター

記事一覧

エピローグ

冬の富士の眺めの中で 穏やかな気持ちになったら この本の言葉たちを 覗いてみてください。 …

あとがき

始発駅から夢見心地。気づくと人が入れ替わり、気づくと周りに人がいませんでした。眠っている…

【海と山の境目】 第12話 ほんとうの光

揺れる車に寝そべりながら、隆志の頭の中はグルグル廻っていた。 筒状の物体が分裂し、一気に…

【海と山の境目】 第11話 雨音(amane)の流れ

背中から抱きしめたら、驚かせてしまう。それに、背中だけを見つめていれば、泣いても驚かせな…

【海と山の境目】 第10話 シンプルな強さ

どうしても納得がいかない、理不尽なアクシデントが、隆志に起こってしまった。過去に勤めてい…

【海と山の境目】 第9話 コーラを飲んだピエロ

幼い頃の隆志の文集に書いてあった1行に、みんなに笑われるようになりたい、と記されていた。…

【海と山の境目】 第8話 透明な羽根

若い人たちに絵を描くことや、彫刻の創り方などを教える立場にあった隆志は、幼子の傷をさすりながら、羽根がはえると教え、悟られぬように泣きじゃくり、腫れあがった両目を押さえている若者には、うしろを見ながら歩けないことを教えた。手に取れないぬくもりは、透きとおり、若い心の傷跡を癒し、染み渡ると信じていた。 音楽のリーダーである指揮者であっても、曲の中にある空間を捉え、雲を掴むように動き、リズムの中を漂っている風を立体的に読み、雨の流れに浸透するような音を、観客に魅せる。振り抜く強

【海と山の境目】 第7話 コンセントの曲がり角

まぶたの裏の模様を描くように、奥行きを創造する流れに沿った曲線を描きたかった。その絵の具…

【海と山の境目】 第6話 壊れた氷

隆志は、顔に大きな傷跡を負う前、数人の同級生たちから、ひどいイジメを受けていた。ただただ…

【海と山の境目】 第5話 船の泡

先日受け取った、隆志にとって、一番大切な雨音に返事を書いた。彼女への想いを再確認すること…

【海と山の境目】 第4話 灰色の銃

暗闇に怯えながら帰宅する途中、くしゃくしゃに踏まれたブーケがあった。気づかれぬままでヨレ…

【海と山の境目】 第3話 傘と裏路地

雨が降り始めた。裏路地にあった昔ながらのたたずまいのBar。傘を閉じて、試しに入ってみれば…

【海と山の境目】 第2話 背後にあるサンドノイズ

笑うことを酷く嫌う。笑いが起こる所には、必ず誰かの犠牲がある。ややもすると、自虐で存在を…

【海と山の境目】 第1話 あること

暗くて少しせまい空間で寝そべりながら、隆志は目を回しながら呟いた。 「誰かもそんなこと言ってたな。」 大都市の摩天楼に灯された光は、縛られた身体を強引に振りほどこうとする自分の動きで周っていることに気付く。流れる星の光波(ひかり)は、摩天楼のそれとは違うことが、彼にはハッキリと理解できた。目を閉じても眩しかった。 人工の光など、自然が創り上げる光に比べれば、何と醜い輝きなのだろう。「あの時」、あの浜辺で、彼の脳の中枢から理性が飛び、燃えさかる本能が溢れ出たとき、現代の不